7月7日は・・・












朝から、さくらはソワソワしていた。
それも、不自然と言えるほどに。

さくら(さくらは動物みたいな扱いだ。しかし勘違いしないで欲しい。さくらは可愛い小動物だ)の事に詳しい亜紀は「ほっておきましょう」とただその1言で終わらせた。
仮にも親友と言う間柄のさくらと亜紀
その割には冷たい言葉。
シュウはさくらに同情した。

しかし、当の本人はそんな事気にしていない様子で、馬鹿みたいに何をやっても空振りばかりだった。


他の奴らも「ほっておけば、元に戻るよ」と笑顔で言ってさくらには無関心だ。
こいつ等は本当に親友なのだろうか。
シュウは自分のことではないのに妙に心がざわつき、騒いでしまったのである。







でも、あえてシュウも気にしなかったのに・・

さくらはいろいろと、そう、ややこしいのだ。




それなのに。



どうして俺は拉致されたのでしょう?



  



























           七  
           .
           .
           
           . 
           .
           . 
           の               .            夜
           に.
           .
           .

































わー!綺麗っ!




「なぁ、何で?」
「何って何?」
「だから、何で俺ここにいるんだよ」
「そんなの、私が拉致ったからじゃん(ふふん)」


如何してそこまで威張れるんだ!シュウは心の片隅叫んだ。


「ああ、逃げないでね」
「いやだ」
「逃げたらシュウと別れてやる」


何と返せば良いのだろうか。


「・・・」


シュウはさくらを悲しい目で見つめた。



当たりは真っ暗


数分前、シュウは真っ暗になってしまった帰路にため息をつき、学校を出て一歩踏み出したときだ。

その時だった。


突風がシュウを包み込み、そして腕を引っ張られる。

勿論、抵抗はした。
だけど、突然の突風が後押しするかのよう。


あえなくKOされる。


そして、気がつけばここにいたというのだった。
誰もいない不気味な公園。ここに、だ・・・



「いらっしゃ〜い」


聞えてきたのは何とも能天気な軽い弾む声


ああ、やっぱり

シュウは引き攣った笑みを浮かべる。
さくらは、にんまりと笑っていた。


















「で、何でここに俺を連れてきたんだよ」
「分かんない?」
「分かんないから聞いてるんだろ」


シュウはどうやらご立腹な様子
ここにきて、さくらはマズイっ!と初めて察知したのである。

だけど、さくらにも譲れないものがあるのだ。


「おい・・」
「・・・。」
「・・・。。」
「・・・(ふぅ)」
「・・・(何なんだ!?・・・ふぅって!何だ!)」


さくらはシュウから目線を逸らす。
その行動にシュウは不機嫌さを増す。


今日は・・


「空」
「え?」
「空見てみなよ」


一体何が?

さくらは首がひん曲がるんではないかと思うくらい、上を見上げている。
それを不思議に見つめつつも、シュウは少し空に顔を向けた。


シュウは口をポカンと開かせた。



「今日は7月7日なのですよ?」
「・・・そういうことならハッキリ言っとけ」
「驚かせたかったのよー」
「それにしても、ソワソワし過ぎだろ」
「まぁ、そんな事は置いといてー」


喧嘩のような会話をしながらも2人は上を見上げている。


「それにしても、リアクション薄すぎー」


シュウは、文句を言うさくらに呆れながらも笑う。


「・・・おー!すごいなぁ。天の川」
「何か似非っぽいな」
「おまえ、これ以上何を望む」


このままだと、首が痛くなるのは必須。

シュウは空から視線を外すことなく首を元の位置に戻す。


「私は毎年、小遣いアップを願っていたのさ」
「・・・(夢ねー)」


痛くならないのか。シュウはさくらを見て思う。
ずーと、空を見上げている。


「天の川って沢山の星の集まりなんだよね」
「ああ」


キラキラ?


「太陽みたいな恒星が約2000億個も集まったんだね」
「その恒星が銀河系を構成して、太陽系は恒星が円盤状に散らばっているところにあって、そこから銀河系を眺めた円盤状が帯のように見える。それが天の川だ」
「・・・」
「・・・聞いてんのか?」
「・・・っ!」
「!?」



「夢のない事言うなってば!」


そう言ったのと同時に、さくらはシュウの所謂、弁慶の泣き所を蹴ろうとする。
けど、するりとそれをかわしたのは、当たり前だ。こいつの動きは見切っている。


「夢のないのはお前じゃ・・・」
「あー!こと座のベガ星発見!」
「・・・(自己中だろ)」
「一等星もあるねー」


シュウは溜め息をして、もう1度空を見上げる。


「さあな」

「こと座の一等星ベガと一等星アルタイルは、ちゃんと出会えたのかな」
「ん?・・・」
「あ、織り姫と彦星は出会えたのかなーって思って」
「さあな」

星同士の出会いなど、あるのか、あるものか。


「何か、果てしなくロマンチックだよな・・・」

「こと座の織り姫と一等星、彦星が出会えるのは1年でこの日しかないんだから」
「恋人だっけ?」
「うん。でも天帝が2人を引き離しちゃったのよ」


満面の笑みが消えるさくらの表情

やはり、彼女も女の子だったのか・・・当たり前な事に納得する。



「切ないな」


天の川を端から端まで一体どれ程の距離があるのだろうか。


そう、10万光年。



織り姫さんと彦星さんは、どんな気持でいたのだろうか。

しんみりする心



「くっしゅ・・」


さくらがくしゃみをした音がかすかに聞えてきた。
夏だからと言って暑すぎるわけでもない今日の日。

夏カゼは一番厄介なものなのだ。


「帰るか」
「うん」

返事はしているがさくらの目線は上だ。



明日、皆に何があったのか問い詰められそうだ。
そして、どうして僕らも誘ってくれなかったんだ!とか言い出しそうだ。というか、言う。


「シュウ」
「何?」


シュウはさくらの方に顔を傾ける。

少しだけ戸惑う。
さくらは、もうすでに上ではなくシュウを見ていたんだから。




「ずぅーっと、離れないでね」




何を思ったのか。

俺が離れるはず無いのに。
彦星と織り姫に例えているのだろうか。




「つーか、離れてやんねー」

「約束!」




例えば10万光年離れた所にいたとしても、ビューンって飛んで行ってやるよ。


そう言ったシュウの顔がバックの天の川に照らされて輝いていた。
ぶ、っと噴出すさくら。



「かっこイイか、かっこ悪いか、何だかわからないよ!もう1回言ってよ!」
「あー、笑うな!・・・ていうか、もう一生言ってやんねぇ!」


ヒーヒーと笑い転げるまではいかないが笑いまくった。





バビューンって飛んでこいや!














天の川


出逢ったのは2人だけじゃない



























7月7日は

あなたと一緒に、いたいと思ってしまう。



まるで、恋する心がうつったみたい






































そんな七夕









































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