逆転






がはは!死んでやろうか!















「やあやあ!シュウ、さくら!!」
「あっちーのが来やがった」
「・・・(・・うざ)」
「2人とも酷いなぁ」


太郎はキラキラ輝いていた。


「どっか行け」
「シュウは、ここでさくらとイチャついていたいんだね。うん?そうなんだね。ええ?」
「ちげー」
「・・・(・・うざ)」


太郎は何を考えているか分からない。
はっきり言って火星人並みに変だ。
亜紀がいたらもっと、変だ。
こいつを止められるのは、亜紀の笑顔か、シュウの弾丸ミサイルだ(何それ)


「あ、亜紀!そんな所にいたんだね!!」


太郎は消えた。


「あちー」
「・・・(・・暑い)」
「・・・」
「・・・」
「・・お前さ、心で会話すんのやめねー?」
「・・・(えー)」
「・・・(えー)」
「・・・」
「・・・」


今日は暑かった。

夏満開のこの日。さくらとシュウはまともに使用されていない部室の部屋にいる。
どうしてココに居るかなんて本人達にすらわかってはいない。
授業が午前中だけで終わり、しいてすることがなくて、だからといって帰宅するのももったいなく、部室の椅子に座っていた。ということ


「あ、2人とも」
「・・・(ユウじゃん)」
「・・・(わー)」
「あのさ、2人ともせめて声出してよ」
「・・・おぉー!(さくらに洗脳される所だったよ)」


ユウという男は大量のチョコレートと共にやって来た。


「それ、溶けないのかー?」
「大丈夫だよ。溶ける前にチョコレートは僕の一部さ」
「(おぇ)」
「失礼だね君」
「あのさー」


今まで黙っていたさくらが声を出した。
それに驚くシュウ。ユウも興味津々そうだ。



「私、死にたい」


目を瞑ってソファーにうつ伏せになっているさくら。
シュウは何故か膝枕されている状態だったのだ。(だから、さっき太郎がイチャついていたいとか、ほざいていたわけで)





「死ねば?」


さくらに笑顔で返すユウ


「・・・(何つー会話だ)」


さくらは動かない。
ユウはチョコを頬張る。
シュウはだんだんと痛くなってきた脚を気遣う


「死にたいよー」
「死ねばー(ニコ)」
「(まだ続いてたの?)」


部室は暑い。
クーラーは無理でも扇風機くらいは設置した方が良いんではないかと、シュウはカッターシャツのえりをパタパタさせながら思った。



「でも、まだ死ねないよー」
「じゃあ、言うなって」
「でも、死にたいんだー」
「それってさ、死ぬのが怖いんじゃないの?」
「・・・」
「・・・(図星?)」


今日は皆おかしい
特にさくらが。



「何かさー。死にたいんだよ」
「まだ言ってる」
「だって、無性に死にたいって思うんだもん」
「暑いから?」
「そうかもー」
「単純だねー」


泣きたいよ
痛いよ
何か辛いんだってば


シュウはさくらの長い髪をすくう。かなり、痛んでいた。



「泣きたい。死にたい。自分が大嫌い」


さくらは動かない。
どこから声を出しているのか聞きたいぐらいに、細い声だった。


「さくらは、何がしたいの?」
「泣きたいし、死にたいし、こんな自分を殺したい」


さくらは、普通の人間だ。
いや、普通は良いことだ。

さくらの周りにいる人間はとてもすごい奴ばかりだ


太郎なんかトップの成績を誇っていたのだから。
それに比べさくらは普通だった。


「せめて、泣きたい」
「泣いたらいいよ」
「いや、まて!(俺のスボンが濡れる!!)」


さくらは泣かなかった。


「死にたいよ」


ユウもシュウも何も言わなかった。
少し涼しくなってきた。風が出てきたから。



「死にたいんだよ」



こんな日は泣きたくなる

死にたくなる

無性に悲しくなる

自分が惨めで、馬鹿でちっぽけで



死にたいんだよ



「シュウが好きなんだよ」



泣きたい

死にたい

悲しい



「「え!?」」


さくらは顔を上げなかった。

シュウとユウは目を見開く。
さくらが今何を言ったのか


「好きなんだってば」
「・・・ごめん」


知ってる

シュウには大事にしてる彼女がいること


「馬鹿やろう!言ってみただけじゃん」
「え。何それ(冗談かよ)」


さくらは動かなかった。
ユウはチョコレートの、包み紙を片付ける。

時間は過ぎる。

遠くで太郎の叫びが聞える。



「死にたいんだよ」
「・・・(まだ言ってる。コイツ)」


脚がじんじんして麻痺したみたいに感覚がなくなってきた。シュウは溜め息をつく。


「泣きたいんだよ」
「僕の胸を貸してあげようか」

ユウは笑顔だ。しかも両手を広げている。


「え・・」


てっきりユウは「泣けば」とか冷たく言うんだと思っていた。なのに、違った。シュウは間抜けな声を出す。



「泣いちゃっていいんだよ」



その言葉にさくらは、シュウの脚から起き上がった。
その瞬間、シュウの脚は軽くなる。

何故か妙にその軽さが悲しかった。



「シュウなんて嫌いだ!」
「は?」


好きだといったり嫌いだといったり、何なんだコイツ。


「よしよし」


ユウの腕の中でさくらは震えていた。
何をそんなに震える事があるのだろうか。

だけど、声を出さずに泣いていたさくらは小さかった。
ユウは全てを分かっているような様子




「死にたいよぉ」



最後、さくらの声は震えていて




どうする事も出来なかった
如何すれば良いのか分からなかった


脚は軽かった

だけど、じんじんする。








死にたい

悲しい

泣きたい




出来るなら、泣けた後は笑いたい


























シュウの彼女は、私じゃないんだ。

綺麗で賢いあの子



とうてい敵うはずない










































1週間後、シュウは彼女を振った

























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