「バーン」
私は目の前の男を撃った。






















危言


















「・・・(何なんだ)」
「倒れなさいよ」
「は、何で」
「撃たれたら倒れるのが常識でしょ」
「いや、そんな常識ない。ていうか、何だその銃は」
「大阪では撃たれたら倒れてくれるのよ」
「聞けよ」



私はキランと光る銃をポケットの中にしまう。
これは偽物かもしれないし本物かもしれない。



「死になさいよ」
「やだね」
「撃つわよ?」
「だれが」
「撃たれたくせに」
「二度目はない」


ニヤっと笑った彼を開始として、私は再びポケットに手を入れて、硬い金属を手に取った。視線は彼を捕らえたままで。



向こうもこちらの動きを見切ろうと間合いを取っている。
緊迫した空気がこの空間に流れた。汗を誘う。






日が差し込んだ・・・



そして、一瞬









「・・ちッ」
舌打ちをした彼の後ろに回りこんだ私は、狙ったコメカミに銃を突きつけていた。


「これも計算のうち?」
「お前、腕上げたな」
「さあ、ね」



銃がキラッと反射した。





「どうせ偽物だろ」
「偽物かもしれないし本物かもしれない」
「本物なわけないだろ」
「甘いわね」





カチ・・・
安全装置を解除する。





「おい・・・」
「さようなら」












バンッ










けたたましい音とともに、赤い液体が飛び散る。
そして支えることのできなくなった体は倒れた。













さようなら












「なにやってんだよ・・・!?」







男が倒れこんだ私を見入る。
銃は私の手の中、私は自分の心臓に銃弾をぶち込んだ。即死だ。
























「おまえ・・・何で、こんな、こと・・・・嫌だっ・・・死ぬな!死ぬなよ!」


たまらず抱きしめた。涙が彼女の頬に落ちる。
何で、死ぬんだよ





「っ・・・ふざけんな」




何で自分を撃ったんだよ。バカか。
撃つんなら俺を撃てば良かったんだ。
大阪のオバチャンみたいに倒れてやるから

嫌だ、嫌だ・・死ぬな











「お前が、好きなんだ・・」







































「それ本当?」

























あれれぇ?















「それ本当?」
「・・・騙したな」
「結構スリリングだったでしょ」

彼はすぐに事の次第に気がつく。
そして胸から赤いものを流しながら、起き上がる私を呆然と見ていた。
なによ、さっきまで抱きしめていたくせに。
ゾンビを見るような目でみちゃって。
先ほど銃口をあてた彼のコメカミには青筋が浮き上がっていた。



「私のこと好きだったんだ」
「まじ、お前死ね」
「ええー」
「最悪だ」



彼は力なくその場に座り込んだ。
あはは、と腹を抱えて笑い出した私を見て余計に頭が痛くなったよう。
笑い声は止まることを知らない。

先程、シチュエーション的にも感動の告白をしたというのに、何だ今のこの状況は。と男は心の中泣いていた。
騙された挙句、恥ずかしいことを言ってしまった。






「ねえ」
「何だよ」






あいつに呼ばれて下げていた顔を素直に上げてしまう。
今度は何だ、と思いながら。




目の前にあったのは銃口だった。














バンッ




















「言ったでしょ、本物かもしれないし偽物かもしれないって」









































「殺す気か」
「だって殺す気だったし」


彼の座っていた場所からそう遠く離れていない所に、
一発の銃弾が突き刺さり、めり込んでいた。













危険な遊び






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