嗚呼、痛い痛い痛い




この想いは止め処なく溢れていて、それを止めたいのに止まってくれなくて、何で何でこの想いは日増しに育っているのか、もう、水を与えていないはずなのに。やめて、やめて、やめて、お願いだから、そんな風に私に笑いかけないで。あなたが、この世からいなくなってしまったら、とても嬉しくて泣いてしまうのだけれども、でも、それより、もっと私は悲しみに涙してしまうんです。あなたはどうして笑うのですか。私の心をかき乱すような事を言うのですか。大嫌い。大嫌い。どうか嫌いにさせてください。



































「あ、さっき、お姉ちゃんが先輩を探していましたよ」

「そうか」



先輩は嬉しそうに笑ったんだ。



彼は私の大学の3つ上の先輩で、私のお姉ちゃんの彼氏。お姉ちゃんと言うと私の3つ上になるわけで、そのお姉ちゃんが彼とそういう仲だから必然的に私は彼と話すようにもなって。


でも、全然嬉しくない。だって私は彼が好きで、好きで、でもお姉ちゃんも好きで。
ああ、何だ。私は


はっきりと言ってしまえば、私の想いは2人にとっては邪魔なだけなんだ。うん、そうなんだ。



「なぁ」

「はい?」



ああ、痛い。話しかけないでと思ったけど最初に話しかけたのは私の方だった事に気がついて、こんな事なら話しかけなければ良かったと思ったけど、お姉ちゃんに彼にあったら、伝えておいてと頼まれてしまったから、仕方ない。



「何で、いつまで経っても敬語なんだよ?」

「え?」


何を言ってるんだ。彼は。


頭の中がめちゃくちゃで、めちゃくちゃで、マトモにしゃべれない。


ことばって難しいなぁ・・・と思ってみたりして、私は下手で上手く文法を繋げられないんだと思ったら非常に悲しくなってきた。




「で、聞いてる?」

「あ、はい。聞いてます」

「また、敬語じゃん」



慣れというのは怖いなぁ、とつくづく思ってしまう。


「先輩だから敬語で話すんです」

「ふーん」



どうして、そう突っかかって来るんですか?

もう、ほっといて下さい。私の事なんか興味がないくせに。

ただ、お姉ちゃんの妹だからと言うだけでこんにも、笑顔を見せてくれるんだたら、やめてください。



何も答えられない私に先輩は寂しそうな顔をするんだ。

そんな顔して、何を望んでいるんですか、

私は騙されない。その笑顔はお姉ちゃんのものなんでしょう。



「何か、寂しいじゃん」



何を言ってるのか分らない。



ああ、どうして、あなたが寂しいと感じるんですか。



あなたにはお姉ちゃんがいるでしょう。

私に敬語で話されたって悲しくないくせに。

お姉ちゃんとの結婚の話がでているくらい順調なのにこれ以上何を望むというの?妹になれと?


「無理です」

「え?」



無理だ。無理だ。


この枠から一歩はみ出たら私はもう、戻れない。



「しょうがないな」

「すみません」

「じゃあな!」

「はいっ」





ああ、そんな笑顔向けないで




彼に背を向けて、それが精一杯で、

よろよろと歩いている自分がまるで病人みたいで、







私と反対の道を歩いていた彼が振り返った気がしたけど、


何かを言う声が聞こえた気がしたけど、






私は、笑っているお姉ちゃんが好きだから、気がつかない、振り向かない。








先輩と呼んでいるのは、未だに、彼が好きだからという事に、どうか誰も気づかないで下さい。















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