目を掩うて雀を捕らう






私の目には何も見えない。暗くて暗くて真っ暗な世界の中、1人ぽつんとただそこにいる。目を見開いているのかそれとも閉じているのかさえ分からなくなってきて、でもきっと自分は目を閉じているに違いない。もう何も見たくない。感じたくない。目を開けたら何かが見えそうで、涙が溢れそうで、だから私は一生このままでいることを望んだ。望んだんだよ。もう、感じはしない。目を開けても大丈夫だから。目を開けても何も何も見えないと信じているのかもしれない。何が怖いのだろう。あははは・・・・



ほら何も見えない。



真っ暗な世界に何が潜んでいると思う?私には暗闇にしか見えなくて、光などなくて、苦しくて、このままいっそ死んでしまえばいいと思うきもある。だけど、それができないのはあなたがいるからで、私はあなたに生かされている。毎日いつも膝を抱えて泣く事も出来なくて1人だと思っていた私を抱きしめてくれたのは、あなたの温もり。今では遠い日の記憶のようで、もっと一緒にいたくて生きている意味を感じていたくて、だから独占欲が強くなって自由に生きるあなたを縛り付けてしまっていた。それでもあなたは私から離れては行かなかった。私を抱きしめ愛してくれた。暗闇に一体何が潜んでいるのだろう。私には光は見えない、あなたの温もりを感じていたい。でもそれは一時の幸せ、神も光さえ、この世に存在するのだろうか。それとも私がオカシイのか、もう信じるものが分からない。もし私が光の中に飛び込んだなら、その先に私は恐怖するのだろう。暗闇に慣れたこの体とこの目に、光は眩しすぎる



「どうかしたか」



私には何も見えない。何も感じれない。あなたの呼ぶ声さえ、あなたの笑う声さえ、あなたの優しい笑顔さえ、あなたのはにかんだ照れた笑顔さえも、素直に受け取ることができない。私の中で歪みきった醜い塊となっている。それでも尚、あなたはこんなにもハッキリと存在し続ける。光が見えているかのように。、私の中にあなたは、あなたという確固たる存在として生き続けていたのだろう。もう私は壊れたのかもしれない。



「どうした?」
「ううん、なんでもないよ」
「本当に?」
「うん」



ぎゅっと抱きしめた先にあなたの体温を感じて心音が聞える。こんなにも温かいのに、私には光は見えないんだね



「神様っていると思う?」
「何だよ、急に」
「時々思うんだよね、神様っているのかなぁって」
「いるわけないだろ」
「じゃあ光ってあると思う?」
「光?」
「ああ、でも神様がいなかったら光りもないか」
「お前今日変だよ」



あなたが私をキツク抱きしめた






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