(I'll tell my secret only to you.) (a bright smile!) 笑ってよ 私の隣で、暗い顔をした彼は、今何を考えているのだろう。凄く悩んで悩んで何を思っているのだろう。さっきから全く動いていない。呼吸さえもしていないようにも見えてしまった。そんな彼に私は溜め息をついた。というか、もう見ていられなくて、彼がつらそうな姿はもう見たくなかったから。 (君だけに秘密を明かそう) (明るい笑顔) vague 私は今、想い人と2人っきりだった。胸はドキドキしていた。 「相談のってあげるよ!」 「え?相談って・・・」 「何か悩んでいるでしょ」 「大した悩みじゃないから」 「へー、私じゃ頼りにならないと」 「そんなこと言ってないじゃないか」 ムッとして私を見ないで彼は言った。機嫌を損ねたのは少し不味かったと思ったが、それよりも、私の目を見ていないことに腹が立ったので、お構いなしに聞いてみることにしよう。それがいい。もう隣で暗い空気放たれているよりはマシだ。 まあ、好きだから気になっちゃうのかもしれないけどさ。これが好きでもなければ、無視だからね。完璧無視するさ。 カタっと隣で音がしたので目をむけると、彼が紅茶の入ったカップを口に運んでいた。あの紅茶に何杯の砂糖が入っているのだろう、と考えたら無性に気持が悪くなってしまった。きっと10杯は入っている。 「で、何を悩んでるのですか」 「言うほどのことではないから」 その返答に何と返すか迷ってしまった。このままでは何も聞けずに終わってしまう。そんなの嫌だ。好きな人のことなのに無関係なんてできるはずない。例えその悩みが 「告白しようと思うんだ」 ドカッ、まるで殴られたような気分だった。 いや、本気で殴ってくれたほうが良い。 殴ってくれたまえ。ああ。これは、現実だ。 「でも正直迷ってる」 「・・・な、なんで」 声が震えてない事に一安心した。 「告白、しなよ」 想いとは裏腹に、口から出てくる言葉が、私の想いを殺す。ウソだ。本当は告白なんてしてほしくない。してほしくないんだ。悩まないでよ。ウソなんだってば。全部ウソだよ。 「僕はね、所詮は1人なんだよ」 僕の秘密を知れば、大抵の人が去っていくんだよ。 重く悲しいその視線に耐えれなくて、私は目を下に落とした。そこにあったのは私が使った空っぽのカップ。1滴、紅茶がテーブルに零れていた。なんて行儀の悪い子なんだろう。紅茶さえ零さずに飲めないなんて。お嫁にいけない。 彼は気がつくと私の隣から消えていた。 カップは私の分まで消えていた。やっぱり彼は優しい。 相談にのった事がダメだったのかなあ だけど、さ 「私は、あなたに笑っていて欲しかっただけなのにさ」 誰よりも優しい笑顔をもつあなた。幸せに笑ってよ。 たとえ隣にいるのが私じゃなくても良いから 唇をかんだ。 |