私は青かった。

ついでに彼も青かった










「何やってんの?」
「ああ」
「ほほー!」
「は?」
「あの女の子を見てたのですねー!」
「悪いか」
「いやいやー、青春だねえ」
「青いな」
「そうですねー」
「そっちはさ、どうよ」
「何がですかー?」
「アイツと」
「全然ですよーぎゃはは」






草陰から女の子を見ている彼はとても怖くて、イケメンがストーカーとか笑えない。イケメンでも犯罪ですよ。ていうか見ていられなくて思わず声をかけてしまっていたんだ。だって切なそうな目で女の子をズッと見ているんだよ。あの女の子と彼は親友らしい。いつも一緒にいるところをよく見かける。それなのに今は何だ。何だ。こんな草陰に隠れてみているなんてさ。ちょっと危ない人にしか見えなかった。ていうか、かなり。でも心配してあげるほど、別に私は彼と親しくはないし、だって私には好きな人がいて。ストーカーとなりつつある彼とは、2、3回話をした程度で接点はおかしいほどなかった。まあ、別にいいんだけど。つーか、あなたが眩し過ぎたんだよ。イケメンは罪だ。それなのに何故私が神様みたいなキラキラな存在の彼に声をかけたか何ていうと空が青かったからである。





「このままじゃ一生片思いだよー」
「んな悲しいこと言うな!本当になっちまうだろ!!」
「だってー」
「膨れんなこのタコ」
「ぶっ、たたたたたこ!?あの黒いものを放出する!?」
「え。ま、まあ」
「私そんな迷惑な行為しないよ!」




いつの間にか彼が私のほうを見ていたので、女の子がいなくなったと分かった。イケメンでシャイって誰得なんだろう。




「あ!」
「ん?」
「私いい事思いついた!!」
「何?(めんど)」
「私達が付き合う振りをするなんてどうよ!?(めんど!?)」
「却下」
「えー!」
「それって意味あんの?」
「今まで気にならなかった友達に、恋人が出来て離れていったら、気づく感情もあるでしょう」
「そうか?」
「うんうん!もしそれで脈がなかったら、この作戦は終わりにしたらいいし。彼女と両思いになったら、それでいいじゃん」
「のった!」
「わー(のせやすっ)」
「お前凄いなー」
「えへへ(少女漫画が役に立ちました)」





空は青かった。青くて青くてどんな色も混ざらないぐらいだと思った。だけど、そうじゃなくて私たちの心が青かったから空がそう見えたのかもしれない。青くて青くて晴れた私




「んじゃお互い頑張ろうよ!」
「おう」



それからは、草陰に潜んでいる私たちは、何もしゃべる事がなかった。会話が途切れて変な空気が流れ出す。ん、これは草の匂いか。草だけにくさい。(寒くもならね)



「俺等付き合ってるんだよな」
「うん(今更?)」
「付き合うって何すんの?」
「ぶ」










私たちは青かった

青くて青くて青くて




















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「なぁ・・・」



なのに何で今は灰色に染まっているのだろう。
何を間違えたのだろう。パレット買わないと。



「お腹の音やばかったぞ」
「うっさい。ていか離しやがれ」
「いや」
「何で」
「おまえが泣いてるから」
「泣いてないもん」
「ウソツキ」
「違う」
「ウソ」
「ウソツキはそっちでしょ」



腕がかすかに緩くなって振り向いた。



「だって泣いてるのはそっちじゃん」
「お前だって」







いつの間にか青色の私達はいなかった。消えていた。影も形もなくて
灰色だった。


黒を通り越して灰色だった。





「あなたは何色?」
「黒」




そうね、黒に染まりたかった。
でも、きっとスルスルと流れ音を立てて落ちていった水で薄くなるのだ。










































































怪異













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