▼ 3.新しい服 (11/11)
「…それが新しい服か?」
「なーんか、どっかで見たことある気がするってばよ」
「うん、ヒナタちゃんとおそろいなんだ!」
結局あの後、サクラとの長い買い物に疲弊していたソラは、ヒナタと同じ服を買うべく、ヒナタ行きつけの店を紹介してもらった。
しかし同じ服は店にないばかりか、すでにこの型は生産が中止されたと言われた。
激しく落胆。
また振り出しに戻ったかと絶望的な気持ちで文字どおり座り込んだ。
そんなソラに同情してか、店の人は特注ならと話を持ち掛けてくれた。
特注のため料金は割高になると言われたがそこはサクラが問題解決。
ナルトから押収したお金を気前よく財布ごとソラに手渡した。
前日までナルトに悪いなと思っていたことなんてさっぱり忘れ、ソラも息巻いて支払いを済ませたというわけだ。
「急いで作ってもらったから、ちょっと縫い目が粗いところはあるんだけどね。でも実用的だしかなり気に入ってる」
「あ、そうだナルト。お金、余ったから」
思い出したようにサクラが懐から財布を取り出した。
「ああ、そうだった……ってェ、なんでこんなに激ヤセしてんだってばよ!?」
蝦蟇口の財布を逆さまにして、中身が空に近いと分かると、ナルトは慌てふためいた。
それを見てサクラはお腹を抱えて笑い出し、ソラの耳には、明るい笑い声が響いてくる。
その中に混ざるもう一つ女の子の声。
そこで初めて自分もつられて笑っていたことにソラは気がついた。
なんだろう。
日を追うごとに強くなる、この感じは。
それは少しの不安と、それをしのぐたくさんのわくわく。
ソラはこの世界に来てから確実に変わっていく自分を感じていた。
人を見下さずに笑うのなんて、本当に久しぶりのことだった。
そして本気で笑うことの出来る仲間と出会えたことに感謝していたら――ふと真顔のサスケと目が合った。
「で、三代目には何をやるんだ?」
その一言に、浮かれていた気持ちが一気に吹っ飛んだ。
しまった、完全に忘れていた。
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