▼ 2.出会い-前編- (15/15)
「――ただいま参りました」
初めに入ってきたのはカカシだった。
その後ろにはお馴染みの三人がついている。
ナルトはぎゅっと口を結んでソラを睨みつけていた。
何も言わないのは、カカシに怒られでもしたせいだろう、とソラは思う。
「遅れてすみません」
続いてイルカ、鼻の上を横切る痛々しい傷痕が目立った。
それからソラには見覚えのない、髭を生やした男性と、紅と呼ばれた女性が続けざまに入りドアは閉められた。
「ガイはどうした?」
全員が落ち着いてから火影が聞くと、紅は若干決まり悪そうにする。
「それが、例の如くリーを引き連れ走り込みをしていまして…鷹の召集にも気づかず、早すぎて捕まえることもできませんでした」
「……まあ、よい」
小さく溜め息をつき、ソラの隣に立った。
そして小さな肩に手を置く。
「皆を集めたのは言うまでもない、この子の処遇についてじゃ」
一斉に集まる視線には、興味の色が浮かんでいた。
「この子、ソラは、今日から木ノ葉の一員じゃ」
火影の言葉に、ナルトの身体がびくりと反応した。
すかさずカカシがナルトの腕を強く掴む。
「元の世界に帰るまでの間、この木ノ葉で過ごすこととなった。まだ分からないことだらけじゃろう。里の一員として、ソラが困ったことがあれば手を貸すよう…」
「ちょっと待って下さい火影様、その子の話を鵜呑みにするんですか!?」
割って入ったのはイルカだった。
声を荒げて信じられない、といった顔をしている。
「その子はサスケの背後をとった。もし他国の忍だとしたら、その子は里の脅威になりかねません。里に住まわせるのは得策だとは……」
「最後まで話を聞けい!」
反論も虚しく、一喝されたイルカは口をつぐむ。
「わしがおぬしらを呼んだのには、二つ理由がある。
一つは里をあげてのソラの保護じゃ。異世界から来たことが知れれば、珍しいことも相まって、誰かから狙われるやも知れん。そんなときはなんとしてもソラを守ること。そのために、この場にいない中忍以上の者に、ソラの存在と、ここに来た経緯の説明を頼みたい。
そしてもう一つは――」
火影がイルカを見る。
「イルカの言うように、ソラが里の脅威にならんとするときのため、常にこの場にいる誰かしらと行動を共にしてもらいたい。ここにいるのは下忍担当の上忍とアカデミーのイルカ。ソラが任務に同行、または授業に同席するにしても危険は及ばず、かつ腕のたつ者たちばかりじゃ。ソラが危険になれば守れ、その反対の場合もまた心配あるまい。
……異論はあるかの?」
カカシが、空いている方の右手をあげた。
「それは分かりましたが、具体的にこの子はどこに住むのですか?」
「そのことなんじゃが、ナルト」
「ん?」
いきなり話を振られ、ナルトは顔を上げる。
午後の任務終了から時間が経って、窓から差し込んできていた西日は火影の顔を陰らせていた。
その横で上体を起こしたソラが黙って成り行きを見ている。
突然の来訪者を許したわけではないナルトは、思い切り唇を突き出して、不機嫌そうに振る舞った。
だか次に出てきた火影の言葉に、さすがにぽかんとしてしまった。
「確かおぬしの家の下、空いておったな?」
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