10月生まれのみなさん
誕生日おめでとうございます

10月4日、私はとあるパーティーにお招きいただいた。世間一般の誕生日パーティーとは違うだろうなあ、と思ってはいたけれどここまでぶっ飛んでいるとは思わなかった。数人でケーキ囲んでふーふーろうそく吹けば超幸せの私にとって、これは、もう、理解出来ないレベル。バイキング方式の、どこからどう見てもお高そうなものしか並んでいない立食パーティーって、何これ規模おかしくない?

わらわらと人がざっと、ああ、数えるのも億劫だ。考えるのも面倒くさい。とにかく、人がゴミかと思うくらいいるのだ。そしてその人、人、人の山の向こうの舞台に、私を招いてくださった迷惑な俺様が正装でマイクを持っていた。

「本日は、私、跡部景吾の生誕パーティーにお越しいただき―――」

一中学生が生誕パーティーっておかしいだろうどう考えても。挨拶が一通り終わったようで、またがやがやと会場が騒ぎ出す。

「意味分かんねーぜ」と宍戸が言って、私はソレに大きく頷いた。

「どう考えてもおかしいよね」
「くそくそ跡部め!」
「下剋上だ…」

おかしいなあ、コレ、会話が成り立っていない。まあ良いや、せっかく来たんだから、この際おいしいものをお腹いっぱい食べて帰るんだ!

「あーん、こんな隅にいたのかよ」

新しいお皿を取りに行こうとしたその時、後ろから今日の主役の声が聞こえて思わず振り返る。お偉いさんとか、そういう人に挨拶はもう終わらせたのだろうか。

「跡部、こんなところにいていいの?」
「…こんなところも何も、」

と、言って跡部は何かを続けようとしたが宍戸に遮られた。

「跡部、俺らは退散するぜ」
「…ハッ、ちったあ気が利くじゃねーの」
「あとよ、ホラ」

宍戸が何か小さな箱を跡部に投げた。

「受け取っておいてやるよ」

ヒラヒラ、と手を振って氷帝学園テニス部御一行が離れていく。あ、ずるい!私も一緒に退散したい、と思ったけれどタイミングを逃してしまった。跡部に手を捕まれたからだ。

「…」

クッ、これは、これは確実にプレゼントを要求していると見て間違いないだろう。もぞもぞ口が動いて、何か言いたげな顔をしているし。言っておくけれど、この日のためにプレゼントは厳選したつもりだ。私が用意してきたプレゼントは―――

.潮干狩りセット
.ブックカバー
.関節の折れた忍足(侑)の人形
.おにぎり
.アイス
.ゴルフのティー

.と、いう夢を見た