「おっ、下級生はお前一人か?」


まるでマダム・マルキンの店で一番大きな革靴を、これまた一番大きなズボンに引っ付けたような足元が視界に入り込む。革靴を外側に蹴り出すように歩く姿は、トロールでなければ巨人にしか見えないだろう。けれど、その首もとには監督生の印が得意気に居座っているのだから、彼はよほど頭の良い、穏やかな巨人なのだ。少なくとも、ひとりきりで談話室のソファに座り、『ヴィーラと歩くマグル界』を読む下級生を笑わない彼を見る限りはそうなのだろう。マグル生まれの図書室の住人ですら、マグル界について書かれた本を読むことを不思議がるのだから。


「確か、ガーランドだな。今から大広間で他の寮生とチェスをするんだ、お前も来るか?一人だと暇だろう」


ゆっくり、はっきりとした言葉の流れの後ろに、イースター休暇にひとりだなんて、と哀れむような色が透けて見える。彼はどうやら賢く、穏やかで、そして気遣いのできる巨人なのだ。
巣穴のような、天井の低いハッフルパフの談話室では、彼の体は窮屈そうだ。そんな彼をソファに座ったまま見上げ、小さく首を横に振った。彼は大きく分厚い肩を窮屈そうに竦め、僕を見下ろした。


「暇になったらいつでも来れば良い。先生方がイースタービスケットを分けてくれるからな」


返事は初めから期待していないのだ。彼は言い切るなりまた革靴を外側に蹴り出すように歩き出し、ぎゅっと体を縮めて談話室から外へ繋がる狭い巣穴の通路に吸い込まれていった。来年になれば、彼のためにあの巣穴の通路は杖一本分は広くなるだろう。それはきっと、彼が通路に詰まって蓋をしてしまう次の日だ。
『ヴィーラと歩くマグル界』を閉じて、ソファの上で伸びをする。瞼をおろせば、マグル界の地図が目の前に現れ、それからよく知るグルグモンドへの入り口が見えた。マグル界と魔法界のその境目を、何度、ひとりで歩きたいと思ったことか。


「…………暇なんか、あるものか」


イースターやクリスマスほど、惨めな気持ちになる日はない。そして同じくして、好きな世界に浸れる日はないのだ。誰もがエッグハントに夢中になっている限り、こちらに気付き、変わり者だと笑うことも、目を逸らすことも、しないのだ。
今頃ひとりきりで店を歩き回っている叔父さんを頭の隅に浮かべながら、また本を開く。地図を引っ張り、指でなぞり、文字を追いかけて、それからそっと、目を伏せた。
魔女が営む小さな虹の家を、孤児院を、ダークブラウンの瞳は知っていた。そしてあのダークブラウンは、一度だって、変わり者だと笑うことも、目を逸らすことも、無かったのだ。


「……図書室、行くか」


本を閉じて、ソファから立ち上がる。談話室の小さな窓の外は薄い銀が幕をおろすように光り、窓ガラスはしつこく居残る寒さに白く震えていた。叔父さんの首は、今日もマフラーをぐるぐると巻き付けていることだろう。


「何か良いこと、あればな……」


父さんも、叔父さんのように寒がりだったのだろうか。
ぼんやりと、羊皮紙についた紅茶の染みよりもどうでもいいことを考えながら、談話室を出た。当たり前だが、窮屈そうに体を縮める必要は、いっぺんだってありはしなかった。







「良いかい、僕は今から走って丘に行ってくるから、君は絶対にここに座って、温かくしていなくちゃならないんだ。春も何もない寒い場所で、今日という日を過ごしちゃならないんだ」


トムの目には、私がずぶ濡れになって震えているようにでも見えているのだろうか。それとも酷く寒さに弱い、冷たい風に頬を撫でられでもしたらたちまち熱を奪い取られ、ベッドの上でイースター休暇を過ごさなくてはならないような魔女に見えているのだろうか。
トムがクリスマスよりもずっと贈り物が少ないことに気付いたのは、朝食なんて言葉の枠には収まりきれない朝食をとり終えようとしていた頃だった。母さんと父さんからの山ほどのプレゼントの中に混ざって、トムへのイースターの細やかなプレゼントが乗せられている。この家では、イースターの贈り物は全てテーブルの上に並ぶもので、そしてそれは口へ入ってしまうものだった。私はそれがたまらなく好きで、プレゼントは小さなイースターカラーのリボンの髪飾りで充分だった。
しかし、トムはそんなことよりも私のプレゼントの山が気になったらしい。クリスマスにはあれほどあった贈り物が誕生日という日にここにいないことが、彼は心底不思議でならなかったのだ。


「だって、私、誰にも教えてないもの。私、トムがいれば、私はそれで良いもの」


何せ、私はミネルバの誕生日も、サミュエルの誕生日も祝えていないのだから。親しくなるのに随分と時間がかかったせいで、リボンで飾り付けた包みを贈るには遅すぎたのだ。
今年の夏中に、誕生日を聞いて回らなくてはならない。来年こそは、互いに祝うのだ。だから、今年はトムだけで良い。それを全てひっくるめて言葉にしてしまうのは難しく、私は丸めたそれを少し千切って、トムに向けて投げやったのだ。
それからのトムは、箒で飛ぶよりも早かった。
此処にいるんだ、と、夜よりも真っ黒い瞳を光らせて、裏口からばたばたと丘へ飛び出していったトムを、私はいつまでも覚えているだろう。そして、壁に掛けられた時計の短い針がほんの少し体を持上げたと同時に、その腕いっぱいに花を抱えて裏口から飛び込んで来た彼もまた、私はいつまでも覚えているだろう。
トムの頬は内側から灯るようにオペラ色に輝いて、私には抱えきれない、甘く優しい花を贈ってくれたのだった。


「ごめんね、僕、来年こそはきっと、ニナのために、もっと、ちゃんとしたものを用意するから」


申し訳なさそうに謝りながら、それでも何故だか蜂蜜のたっぷりと溶けたミルクを飲んだ後のように満ちた顔をしていたので、私は何も言わずにそれを抱き抱え、頬を弛めたのだった。
そして、抱えきれないほどの花に埋もれるように、トムの背中にしがみついて朝を迎えれば、イースターが待ち受けていた。


「母さん、母さん、今日は丘に行くわ。丘で食べるのよ。私、バスケットを持ってくるから、丘へ行って良いでしょう?」

「まだ少し冷えるわ。此処で食べていきなさい」

「ええ、でも、でも、母さん」


狼の口を大きく開いたスコーンには、レーズンがたっぷりと覗いている。それに手作りのジャムやクリームをスプーン山盛りひと匙分乗せて食べれば、きっとたまらなく美味しいだろう。そしてそれを食べるのが広い丘なら、もっと、ずっとたまらないはずだ。
朝からトムが結ってくれた髪にさしていた花が、ひとつぽろりとこぼれ落ちる。それを拾い上げて、長く大きな、ゆるい三つ編み髪をまとめる花の髪飾りの少し上に落ちないようしっかりとさした。花の髪飾りは、クリスマスにアンドリュー先輩がくれたものだったけれど、私はひとりでは髪を飾ることが出来ないので、一度だってアンドリュー先輩にこの髪飾りをつけているところを見せることが出来ていない。そして、アルヴィ先輩からのリボンも。


「ハツ、僕もいくよ」


頭の半分で髪飾りを、もう半分で丘のことを考えていれば、ティーカップを持ったトムが後ろから声をかけてくる。私と色違いの黒い靴をはいたトムはそのまま私にティーカップを差し出して、私の隣に立って狼の口を眺めた。
甘い湯気が揺れる。す、と鼻を撫でたそれはミルクティーの色をしているが、ラベンダーとアールグレイが重なっている。カルチェラタンのミルクティーだ。


「……そうね、トムが行くなら、仕方ないわね」

「えっ、」


甘いラベンダーのそれを飲みながら、私はつい目を丸くする。母さんは私よりもずっとトムが大人に見えるらしかった。


「だって。行こう、ニナ。僕がバスケットを取ってくるから、ニナはそれを飲んでおいて」

「……うん、分かった、うん」


ぱっ、と嬉しそうに笑って振り返ったトムに、私は妙な喉のつっかえを感じながらもそれを隠して頷いてみせる。私の方が年上なのに、と、そんな言葉がくるくると目の前を飛んでいって、落っこちていった。
私のようにばたばたと足音をたてず、静かにトムはバスケットを取りに走る。それを見送りながら私はティーカップを傾けて、お腹に落ちる甘い温もりを確かめる。ちらりと母さんを見上げれば、母さんは小さなガラス瓶にクリーム、それからルバーブのジャムを詰めているところだった。大きな瓶から掬いとって使うよりも、小さな瓶を丸々ひとつ空にして食べる方が美味しくなることを、母さんは知っているのだ。


「母さん、ねえ、」

「なあに?私の小さなニナ」


誕生日が過ぎたばかりだからか、母さんはわざとらしく私を甘やかせるように名前を呼ぶ。それはいつもこの季節だけなので、私はちっとも気にしていなかった。けれど、何故だか今日は喉につっかえて、私はたちまち言葉が出なくなってしまった。


「ニナ、スコーンと、イースタービスケットと、それから何が良いかしら?」


俯いてしまった私の頭をルバーブの瓶でつつきながら、母さんは笑う。私は喉をひとなでして、考えるふりをしながら母さんを見上げた。
私の方が、トムより、お姉さんなのに。


「ニナ、このバスケットで良い?」


また足音もなく走ってきたトムが、私が夏によく使っていたスウィートグラスのバスケットを差し出してくる。こくりとそれに頷いて、私はバスケットを開いた。夏がこびりついたバスケットの底から、甘いスウィートグラスの香りが立ち上る。
母さんからルバーブのジャムとクリームの入った二つの瓶を受け取って、バスケットの奥に詰める。狼の口からレーズンを覗かせるスコーンを四つ包んで入れて、カナリアイエローの細いリボンで結ばれたイースタービスケットをその上に乗せ、それから最後に、昨日残しておいたプラムケーキをふた切れと、温めたミルクがたっぷりと注がれたティーポットとゴブレットを入れた。魔法のかかったそのバスケットの中では、どれだけプラムケーキとティーポットが踊っても、それが無かったことになってしまうのだ。


「じゃあ、行ってくるね、ハツ」

「ええ、ええ、気を付けて。柵を越えちゃ駄目よ。マグルに見付かるから。川にも入らないのよ、まだ寒いんだから」

「分かってるよ、そんなことしないよ」


父さんから教わった呪文を呟きながら、裏口のドアを開ける。私の後ろでは、母さんとトムが、お互いに呆れたような顔をして笑っていた。
つん、と鼻をつついた緑の匂いに、私は前を向く。トムが抱えきれないほどに摘んできてくれた花が、丘のそこらかしこに点点と咲いていて、私はそれを眺めながら地面を踏んだ。バスケットを持ったトムが、何も言わずについてくる。私も何も言わずに、爪先で地面を蹴りながら進んでいった。
なだらかな丘の向こうに、壊れかけた柵が見える。それからそのまた向こうに、小さな蜂蜜色の小屋が見える。父さんはそれをマグルの家だと言っていたけれど、私は一度もその小屋にマグルがいるのを見たことがなかったのだった。


「ニナ、今日はどこにする?」


後ろにいた筈のトムが隣に並んで、同じ歩幅で歩く。私はまた考えるふりをして、喉をひとなでした。
花を踏まないように柵のそばまで歩いてくれば、トムは不意に足を止める。黒い革の爪先は迷うように一歩後ずさった。


「ニナ、見て。ほら」

「なあに?」

「あっち。ほら、柵の向こうだよ」


バスケットを片手に、トムの白い指先が柵の向こうを指差した。それを追いかけて、私は漸く気付く。柵の向こう、なだらかな丘を、二人のマグルが歩いてきたのだ。
マグルらしい、決して魔法使いなら選ばないだろう派手ではないシャツに、マグルらしい無地の、何の飾りっけもないハンチング帽を深く被った大人のマグルが、大股で蜂蜜色の小屋の中へと吸い込まれていく。その後を追うように、大人のマグルと同じハンチング帽を被った子供のマグルが歩いていた。けれど、彼は小屋へ吸い込まれることなく小屋の前で立ち止まり、こちらをじっと眺めている。私とトムは思わず、どちらからともなく手を繋いだ。


「ねえニナ、僕、この丘で誰かを見るのは初めてだ」

「私も、私も初めて……。ねえトム、見えてないよね、私達、柵を越えてないものね」

「うん、多分、丘を眺めてるだけだとは思うけれど」


そう言いながら、私達は手を繋いだままだった。
マグルの子供は、私達と同じ年頃の男の子だった。彼は柵の前までやってきて、ぐるりと辺りを見回している。箒五本分のその距離からは、つん、と上を見上げた細い鼻の上に、そばかすが座り込んでいるのがかろうじて見えた。小柄で華奢な、白い男の子だった。
トムの手が、声もなく私を引っ張る。それからトムは囁くような小さな声で、私の耳を撫でた。大きな声を出せば、きっと男の子に聞こえてしまうのだ。


「ニナ、違う場所へ行こう。川に入りさえしなければ、川へ近付いてはいけない理由はないんだ」


川のそばへ行こう。トムがそう言って、私の手を握りこむ。私は小さく頷きかけて、けれど、頷きはしなかった。
トムの手を、するりと放す。ニナ、と思いの外大きな声で私の名前を言葉にしてしまったトムは慌てたように口許を押さえ、柵の向こうを見た。男の子は、今や柵にもたれてこちらがわの景色を眺めていた。
困ったように、トムが私を見る。男の子の方へと一歩進めば、トムの困ったような顔はとうとう困った顔になり、バスケットを地面に置いて私を手招きした。
落っこちていったはずの言葉が、視界の端で踊っている。こんなことをするのは年下だろうか。子供だろうか。けれど、こんなことを出来る度胸を、きっと彼は持っていない。トムはいつだって、知識とかそういった必要なものだけを、溢れるほど持っているのだ。間違ったってマグルへ近寄るだなんて、そんな必要のない度胸を、彼は持つ必要すらないのだ。私だって、持っていないけれど。


「ニナ、待って、」


囁くような小さな声で、トムは私に手を伸ばす。一歩彼が前へ足を踏み出せば、いつもは足音ひとつ立てない彼の黒い革靴ががさりと芝を踏みつけた。男の子が、耳をすます。そして、いつもは踵が鳴る私の茶色の革靴は、とても静かだった。
柵の前に立つ。間近でマグルの男の子を見るのは、これで二度目だ。真っ黒く塗りつぶしたマグルの男の子から、これが二度目なのだ。
柵に肘を乗せてもたれるようにして立つ男の子の顔を、まじまじと見る。つん、と上を向いた鼻は細くて、とても真っ直ぐだった。大きなハンチング帽の下に隠れていた目は、サミュエルにもイアンにも、アンドリュー先輩やニコラス先輩にだって似ていない。今にも眠ってしまいそうな、とろけた瞼を持っていた。


「ニナ、お願いだから、早く、」


トムの声が、風に乗る。男の子はまた耳をすまして、それから鼻をすんすんと鳴らした。そこで、私は気付く。トムが結ってくれた髪に、私はいくつも花をさしていた。
小さな花をひとつ取り、それを手のひらに転がす。トムの黒い革靴が、また足音を立てる。男の子は不思議そうに耳をすまして、目を閉じた。
ふ、と、息を細く吐き出して、花を飛ばす。そばかすが座り込んでいる鼻を撫で上げるように、花は舞い上がった。


「わっ、」

「おい、トーマス!帰るぞ!」


男の子が驚いて後ずされば、大人のマグルの大きく太い声が稲妻のように落ちてくる。飛び上がるように振り返った男の子は不思議そうに首を傾けて、それから柵のこちら側を見つめた。
私と視線が絡まっているのに、男の子は気付かない。父さんがかけたマグル避けの魔法は、隅から隅までぴんと張りつめたように完璧だった。


「トーマス!帰るぞ!」

「……分かってるよ!今行くから!」


ころころとした声の稲妻を落として、男の子は私に背を向ける。なだらかな丘を、二人のマグルは早足で去っていった。


「ニナ!」


途端、トムは針のように鋭い声で私の名を叫び、此方へ駆けてくる。
トムの冷えきった手が、私の手を捕まえる。その手は腕を撫で上げ、肩を撫で、それから背中を叩くように確かめて、最後に私の頬を包むように触れた。トムの黒い瞳に、赤が濁って見えた。


「ニナ、もう、やめてよ、どれだけ心配したか……」

「平気よ、平気。だって、マグル避けをしているもの」

「マグル避けをしてたって、声を出せば何か聞こえるし、何かいると思われたらマグル避けなんて、」

「平気よ。トム、私、平気だもの」


トムの言葉を遮って、私は彼の手を掴む。氷のように冷たいその指先を私の手でおおって、ふう、と長く息を吹き込んだ。
トムの目が、くすぐったそうに細められる。堪えるように結ばれた唇が逃げたがるように動いたけれど、私は手を離さなかった。
トムが、困った顔をして私を見る。何故だかトムの頬は瞬きひとつの間にオペラ色に、もうひとつの瞬きの間にマゼンダ色に染まり、私の視界の端に落っこちていったはずの言葉が形を変えて、するりと胸に入り込んだ。
私はお姉さんなのだ。いつだって落ち着いた、私よりもずっと大人なトムを困らせることが出来るただひとりの、お姉さんなのだ。


「ふ、ふふふっ、トム、ごめん、ごめんなさい。もうしないわ、約束するわ」

「……うん」

「ごめんね、ふふっ、でも、でもね、とても楽しかったんだから」


鼻先までマゼンダに染め上げて、トムは視線を落とす。そばかすが座り込んだ、つんと上を向いた男の子の鼻を花で撫で上げるよりも、マゼンダの染まり上がったトムの鼻のほうが胸を満たしてくれる。とても素敵な鼻だと、素敵な弟だと、私は思った。
トムの手をしっかり握って、置き去りにされたバスケットを迎えに行く。トムは何故だか俯いて黙りこんでしまっていたけれど、そろそろと、私の指に自分の指を絡めてきた。トムの指は、私よりも熱くなっていた。


「あのね、トム、プラムケーキにクリームを乗せたらスコーンの分が足りなくなると思う?」

「……僕の分を乗せると良いよ」

「本当っ?ありがとう、トム、ありがとうっ」


ぶらりとトムの手を揺らして、私はバスケットを持ち上げる。するとトムがそれを奪い取ってしまったので、私はトムの手だけを握って、なだらかな丘を下っていった。


「帰ったら、羊が待ってるわ。きっと」

「羊?……ああ、ローストラムか」

「イースターはいつもローストラムなの。美味しいのよ、いつもよりずっと、美味しいの」


かたかたと、バスケットが揺れる。魔法のバスケットの中で、プラムケーキも狼の口を大きくあけたスコーンも、大人しく此方を見上げているだろう。まるでこの丘のようになだらかなイースター休暇は、そうして溶けていったのだった。



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