まるで他人じゃないか

先生に頼まれて、授業で使う道具を片付けに行った。相変わらずオレにはよく雑用がまわってくる。
ため息を吐きつつ仕事を終わらせ、教室に戻る途中、見慣れた背中が目に入った。

「あれ、山本?」
「? …おお、ツナ!」

オレが声をかけると、それに反応した山本が振り返る。されにその奥から、誰かがひょいっと顔を出した。……って、

「なまえ!?」
「ああ、やっぱり。沢田先輩の声だと思ったんですよ」

にこにこと嬉しそうに笑うなまえに、山本が「お前ら知り合いだったのなー」と朗らかに言った。…オレとしては山本となまえが知り合いだったことの方が驚きだけど。

それが顔に出ていたのか、なまえが「私、野球部のマネージャーなんですよ」と説明してくる。

「言ってませんでしたか?」
「初耳だよ…」
「あれ…」

そうでしたっけ、と首を傾げるなまえ。

「つーか、ツナとなまえは何で知り合いなんだ?」
「いくら山本先輩でもそれは秘密です」
「ははっ、そっかそっか」

山本は楽しそうに笑って、なまえの頭を撫でた。やめてくださいよー、と笑うなまえも、別に本気で嫌がっているわけではないようだ。……ふーん、仲いいんだ。

「それじゃ、私もう行きますね。山本先輩は、また部活で」
「おう、また後でなー」

頭を下げると、なまえは廊下を歩いて行った。

「なまえ、マネージャーなんかやってたんだ…」

……あれ? そういえばオレ、なまえのことについてほとんど知らない。

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