見えるようになった景色

担任の思い付きで、突然席替えをすることになった。
賛否両論あったけど、オレはもしかしたら京子ちゃんと隣になれるかも…と淡い期待を抱いた。

まあ人生そんなにうまくいくはずもなく、オレは窓際の後ろから二番目。京子ちゃんは一列横の前から二番目という微妙な距離になった。後ろ姿は見えるけど、まあ関わりはないだろう席だ。ちなみに獄寺くんは廊下側の一番後ろで、山本は廊下側の一番前。見事にバラバラになってしまった。
これなら席替えしてもしなくても変わんなかったな…。荷物動かすの面倒だし。ため息に近い、深い息が漏れた。

その日の五時間目。
昼休み後の満腹感と、窓から入ってくる日差し。ついでに古典の先生のお経みたいな喋り方。これだけの条件が揃って寝ない奴のほうがおかしいよな…。
数分前まではちゃんと噛み殺していた欠伸も、もはや止める気も起きなくて、とりあえず手で隠した。

ちらっと教室を見渡せば、山本は既に寝ていて、獄寺くんは、熱心にノートに何かを書き込んでいた。あれ絶対板書じゃないでしょ…。
多くのクラスメートが沈没している中、京子ちゃんはしっかり起きて話を聞いているみたいだった。やっぱえらいなー、京子ちゃんは。

そう思いながら、窓の外に視線を向けると、校庭ではどこかのクラスがハードル走をやっていた。……ていうか、あれ、なまえ…?
遠目だったけど、あの校庭の隅で友達らしき人と喋ってるのは多分なまえだ。じゃあこの時間の体育は一年がやってたんだ。知らなかった。

そのまま何とはなしに見ていると、教師にサボっていたのがバレたらしく、友人と一緒に怒られていた。二人でペコペコと頭を下げているのが見えた。

「あーあ、何やってんだか…」

グラウンドを走らされている。あの先生は女子にも容赦しないからなー。…可哀想に。
でも、心底嫌そうな顔でだらだらと走っているなまえを見たら、ちょっと笑えた。

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