きみの隣を歩く

「沢田先輩、おはようございます」

声をかけられて振り返ると、昨日俺に告白してきたなまえが笑顔で立っていた。

「おはよ、」
「学校までご一緒してもいいですか?」
「ああ、うん」

オレが頷くと、彼女は嬉しそうに隣に並んだ。

「家、こっちの方なの?」
「はい。商店街で店やってて」
「じゃあ学校近いんだ」
「そうなんですよ。だから、寝坊しても遅刻はしないです」
「へえ、いいな」

遅刻して雲雀さんに追い掛け回されることが多いオレにとっては、それは何よりも羨ましいことだった。

「でも、夕方とか外に出ると、高確率で先生に遭遇しちゃうんですよ。たまに先生が買い物しに来たりしますし…」
「……それは…」

可哀想に、とは言わなかったが、伝わっていたのだろう。なまえは苦笑いを浮かべた。

たわいのない話をしているうちに学校に着き、学年が違うなまえとはすぐに校舎口で別れることになった。
上履きに履き替えようと、自分の下駄箱に手を伸ばしたところで、また誰かに声をかけられた。

「おはよう、ツナくん」

その声に反応して横を見ると、京子ちゃんが笑顔で俺を見ていた。

「京子ちゃん! おはよう!」

今日も可愛いな…。
天使みたいな笑顔で、「今日はあったかいねー」と話しかけてきてくれた。

朝から京子ちゃんの笑顔を見れるなんて、今日はツイてる。

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