「好きです」
告白された。人生初。……いや二度目か。知り合いの、アホみたいに(実際頭はいいんだよな…)元気な女の子を思い出した。
今オレの目の前に立っている女子は、頬を僅かに染めながらオレを見ていた。正直、好意を向けられることがそう多くないオレにとっては、嬉しいし、それだけで彼女を特別視してしまいそうになる。……でも、オレには京子ちゃんが…。
「……あの、オレ、」
「知ってます。笹川先輩が好きなんですよね」
「え!? ええっと、えっと…」
ズバリ言われて焦るオレに、彼女はふわっと柔らかく微笑んだ。
「それでも、私は沢田先輩が好きです」
ストレートな言葉をぶつけられ、顔に熱が集まった。
「振り向かせてみせるなんて言えませんけど、アピールくらいはさせてください」
「それはいいんだけど…」
了承してから、考えた。
…あ! 京子ちゃんに見られて変に誤解されたらどうしよう!? いや別に付き合ってるわけでもないけど! 何て言うか…。
焦るオレの心を読んだかのように、彼女は続けた。
「安心してください。笹川先輩の前では、沢田先輩には近づきません」
「―――」
「先輩が望むならもちろん、笹川先輩との仲も応援します」
「…え?」
だから、見かけたときに、話しかけたりとかしてもいいですか?
そう聞かれて、驚きながらもオレが頷くと、彼女は嬉しそうに笑った。
「私、みょうじなまえっていいます。もしよかったら、なまえって呼んでください」
よろしくお願いします、と丁寧にお辞儀したなまえに、オレも慌ててお辞儀を返した。