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Diary

 年が明けてました

頼まれたら断らない系マネージャーとキャプテン赤司。



中学生になったとき、幼馴染の虹村くんに頼まれたので、バスケ部のマネージャーをやることになりました。
一年生の割にいろいろ気は利くし、仕事をお願いしても嫌な顔せずに引き受けてくれる。「優しいね」って評判だけど、それを聞いた虹村くんは鼻で笑った。

「優しいとかじゃねえよ、アイツのは。全部どうでもいいのとおんなじだ」

入りたい部活もないから、頼まれたマネージャーになりました。
自分にできることだから、いろんな仕事も引き受けました。

断る理由がないからやるだけ。
何かに対して執着や嫌悪を持つことがない。だから、断る理由を持ってない。
相手が望むことをしてあげるのは、優しいからじゃなくて、そうしない理由がないから。

「例えば、万が一俺たちが負けて引退することになったとして、多分、アイツは泣かない。普通の試合に勝ったときみたいに、お疲れ様ですって笑ってタオル渡してくると思うよ」

泣いてくれって頼んだら、泣いてくれると思うけど。



虹村くんが引退するとき、一緒にマネージャー辞めようとして部内がざわついた。
赤司キャプテンからお呼び出し。辞めたい理由を聞かれて、「別にやめたいわけじゃないよ〜」って平然と答える。

「でもこれ、元々虹村くんに頼まれたからやってたの。その本人がいなくなるから、やってる理由もなくなった」
「…辞めたいわけじゃないなら、俺から頼む。マネージャーを続けてくれ」

赤司くんの言葉に一瞬不思議そうな顔をして、でもやっぱり断る理由もないからすぐに「わかった」って頷いた。
赤司くんに頼まれたから、じゃあ赤司くんが引退するか、「辞めろ」って言うまでは続けます。解決。



<余談>

頼まれたら断らない系女子マネは、「好きです付き合ってください」と頼まれたので付き合います。同じクラスのAくん。
付き合って、しばらくして女の子に呼び出された。Aくんの幼馴染と、そのお友達。

「わたし、Aのこと、ずっと好きだったの。お願いだから別れてよ」
「可哀想じゃん。他人の好きな人取るなんてひどいよ…別れてあげなよ」

付き合ってくれと頼んできたのは一人。
別れてくれと頼んできたのは二人。

一対一なら優先順位はAくんだけど、二対一なら残念ながら及ばない。
多数決で破局コース。最低。


基本は見境なく引き受けるけど、一応優先順位はある。相反する頼み事は優先順位に沿って決める。でも多数決でひっくり返すこともできちゃう。Aくんは、人数という壁の前には無力だったのだ…。

</余談>



三年生で部活を引退した。そろそろ本腰入れて受験勉強やりますか。
そんなある日、赤司くんから質問された。「行く高校は決めたのか?」「まだだよ」進路希望白紙で提出したら雷が落ちたよ。へらへら笑う彼女に、少し迷って、赤司くんは口を開いた。

「…僕と一緒に来てほしい」

彼女は少し驚いたような顔をして、すぐに「わかった」と頷いた。
進路なんてすごく重要なことなのに、マネージャーを続けてほしいと言った時とまるで同じトーン。いとも簡単に彼女は頷いて、だから、やっぱり自分は彼女にとってどうでもいい存在なんだと再確認させられた。

約束通り彼女は一般入試で洛山にやってきた。「また、バスケ部のマネージャーをやってくれ」「わかった」中学の時と同じ。頼んだから、支えてくれる。



転機はウィンターカップの決勝戦。誠凛高校に惜敗。試合を終えてベンチに戻った。

「…お疲れ様でした」

いつも通りの彼女の声。……ああ、やっぱり、俺たちの勝敗なんて、彼女にとってはどうでもいいことでしかない。二重ダメージ。
無言で、差し出されたタオルを受け取ろうとしたとき、その手が小刻みに震えているのに気が付いた。驚いて顔を上げたら、彼女が涙を流していた。我慢しようとして、表情が変な風に歪んでいる。初めて見た、こんな顔。

「バスケ部のことも、俺のことも、全部どうでもいいのかと思ってた」
「…どうでもいい人に頼まれて、こんな遠くの学校に来るわけないよ」



みたいな。でも赤司くんが負けたから泣いてるだけで、洛山が負けたから泣いているわけではない。思い入れがあるのはバスケ部ではなく赤司くん一人だけ。それ以外の4人も仲良しだし好きだけど、一緒に泣くほどではないみたいなね。
書いておいてなんだけどこの子いつから赤司くんのこと好きなんだろうか。
2017/01/22 23:25

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