▼ お久しぶりです
バカじゃないの。
つけ入る隙があるのになんで自分を売り込まないの。
なんで馬鹿正直に良いアドバイスしてるの。
そのポジションは所詮「いい友達」止まりだって気付いてないの。
どうしてノロケにつられてあなたまで幸せそうに笑ってるの。
あーもう、ホントに。
「イライラするわ…」
「えっ」
呟いた私に、彼は心底驚いたような反応をした。
「なんで? 何かあった?」
「……その鈍さも腹立たしい」
「え、もしかして俺!?」
ショックを受けたような表情のその顔面に、グーパンで追い討ちをかけたいくらいにはイライラしている。
「やる気あるの」
「……いやあ」
「いやあ、じゃないわよ」
ばん、と机を叩いた私に、ビクッと肩を震わせながら「や、落ち着けって」と宥めてくる。ああもうその手の動きすら憎らしい。
「いいの? このままじゃあの子とられちゃうわよ」
「……うーん、そもそも俺のじゃないしなぁ」
苦笑いを浮かべて小首を傾げた彼は、一瞬目を閉じると、穏やかな表情で続けた。
「いいんだよ。幸せになってくれればさ。その相手が俺じゃなくたっていいんだ」
そこは、俺が幸せにしてやる、って言うところでしょ。なんで他人任せにするのよ。
「……ばーか、お人好し」
私の罵倒に、彼は「ごめんな」とまた苦笑した。
2016/02/29 12:30