■阿呆(角飛)
「なー角都。今回の任務って結局なにしたらいーんだ?」
飛段は俺に聞いてくる。
俺はため息をついた後、答えてやる。
「簡単に言うと囮役だ。貴様話聞いてなかったのか」
飛段はは口を尖らせる。
「だってよー。あのクソリーダーがごちゃごちゃ話なげーんだよ」
こいつはいつもいつも話を聞かん。
聞けないのか?とても同じ言語を使っているとは思えん知能の低さ。最近のガキは皆こうなのか?
「つーか俺らが囮!?聞いてねぇよ!」
「さっき説明してただろう」
この阿呆はいつもいつも……
「ちゃんと話を聞いておけ。さもないと死ぬぞ」
「あっ、それを俺に言うかよ、角都」
俺は任務の準備を進める。
すると飛段が思い付いたようにどっか行った。
また迷子にならなければいいが。
目を話すとすぐに迷子になる。
何度俺から離れるなと言っても聞かん。
……阿呆に何をいっても無駄か。
「かーくーずー!」
俺は顔をあげ、飛段を見る。
「ゲハハ!やるよ!」
差し出してきたのは手紙の様なもの。
封筒に入れられている。
「……なんだこれは」
「何って、手紙だよ。まぁ開けろって!」
手紙を受けとり、封をあける。
中の紙を取りだし、開いた。
「…………!」
「どう?なぁどうだ?」
飛段が俺の周りをうろつく。
俺は手紙の文字を読んでいく。
内容は………濃厚なラブレターだった。
「……………」
俺はその手紙を懐にしまう。
……この阿呆が。
「なぁ、どうだったって聞いてんだけど」
俺は飛段をチラリと見た後、任務の準備に再度取りかかる。
「……………こんなの書かんでも貴様の事は熟知している」
「…………そうか!」
飛段はポカンとした後、笑顔でそう答えた。
俺は目線を飛段から荷物に移す。
「…………俺も好きだ」
飛段に聞こえないようにつぶやく。
この阿呆の相手が務まるのは、この俺だ。
Fin