■スキスキ!イタチさん!(鮫→イタ)
ああ、イタチさん…
何て綺麗なんでしょうねぇ。
髪の艶といい、流し目に赤い目といい、性格といい………上げ出したらキリがない。
イタチさんは自分のことを語らない。
そもそもベラベラと話す方ではない。
「………風呂へ行ってくる」
ほら、今だって最低限の報告のみ。
私に何かしろとか、こうしてほしいなどそうそう言ってはこない。
「ならば、私もお供しまょうかね。お互い監視役として」
だから私はついていく。
これは監視。監視です。
イタチさんはそれには返事をせず、着替えをもって風呂場へと向かう。
私も同じように同行する。
途中、角都と飛段が何なら言い争っている声が聞こえた。
どうやら、今日の獲物をズタズタにして角都の逆鱗に触れた様ですね。
イタチさんはその声にも動じずに脱衣場の扉をあけた。
「げ。イタチと鬼鮫」
「………デイダラか」
「おや、貴方でしたか」
脱衣場には、デイダラが一人。
「お前らいつも二人でいるんだな。うん」
デイダラは髪を乾かしていたドライヤーを止め、置く。
どうやらもう出ていくようだ。
イタチさんはカゴに着替えとタオルを置く。
「今日は七輪草の湯だったぜー。じゃあな、うん」
デイダラはこちらを見ずに、右手をひらひらさせて出ていった。
しめた。
私はそっと脱衣場の鍵を閉める。
「……七輪草か」
私は興味はないが、デイダラは毎日変わる湯を飛段と一緒に楽しんでいるのは知っている。
サソリと角都は興味ないと言っていた。
イタチさんはどうなんでしょうね。
「……七輪草らしいですよ」
「らしいな」
イタチさんはそれだけ答えて、するすると服を脱いでいく。
白い肌。
私は息を飲んだ。
その真っ白な肌に、イタチさんの血が流れるなんて想像が出来ない。
私の肌の色とは全然違う、綺麗な色。
イタチさんは全部服を脱ぐと、タオル1枚を持って風呂場へと向かっていった。
「…………そういえば」
イタチさんは、下着をいつも何を身に付けているのだろう。
ボクサー?トランクス……………ふんどし?
私は綺麗に畳まれた着替えをチラリと見たあと、頭をぶんぶんと横に降る。
私は邪な事を!
さっさと服を脱ぎ、乱雑にカゴにいれたあと、イタチさんの後を追うように風呂場へと入った。
イタチさんは丁度シャンプーを洗い流す所だったらしい。
シャワーを手にとってお湯を出す。
イタチさんのうなじはとても美しい。
(暁の中でも私だけが知るイタチさんのうなじ………)
にやけてしまいますねぇ。
それをぐぅとこらえ、隣に座った。
「…………鬼鮫」
不意に声をかけられ、私はイタチさんを見る。
「はい?なんでしょう」
イタチさんは私をじっと見る。
なんだかくすぐったい。
まさか、私の気持ちに気づいたのでは………
期待していると、イタチさん眉間に僅かにシワが入った。
「貴様、何故俺の隣に座る」
「……はい?」
「洗い場なら他にもあるだろう。何故俺の隣に座るんだ」
現実は実に非情なものである。
「監視と言ったでしょう、イタチさん」
「監視とはいえ、ここまでとは、少々行きがつまるな……」
……ああ、でもそんなイタチさんが大好きです。
今日もこんな感じですれ違いの日々。
そして、また明日も監視という名目でイタチさんのお側にいるのだろう。
いつか、この腕にイタチさんを抱く日を夢見て。
Fin