暁 | ナノ




角都は忙しい 2015誕生祭







角都は今日も札を数える。
忙しい、忙しい。
角都は今日も賞金首を換金場へ。
忙しい、忙しい。
角都は今日も任務で駆けずり回る。
忙しい、忙しい。

「角都、来いよ。皆待ってるぜ」

そんな忙しい日々を過ごしていた日に、飛段が呼び止めた。
角都は忙しい。
このあとも賞金首を殺しに行かねばならない。
角都はしばらく考えた後、飛段の左後をついていった。
角都は忙しい。
飛段が襖をあけ、入っていく。
角都が入ると、スパパパーーンッと破裂音が鳴り響いた。

「誕生日おめでとう、角都」

ペインがそう言うと、皆一斉に口を開いた。

「おめでとう、角都」

「おめでとう!!角都の旦那!!」

「じいさん、ボケんなよ」

「誕生日おめでとう」

「月日は早いものですねぇ。おめでとうございます」

「おめでとうございます!角都先輩!」

一通り言い終えると、飛段は角都の顔を見てにんまり笑う。

「角都!おめでとうな!」

角都は忙しい。
だから忘れていた。今日は角都の誕生日。
角都は堪える。泣きそうになるのを。
目の前にはあん肝やレバ刺しがたんまりとある。酒もある。
角都は忙しい。
忙しいけれど、今日は皆に甘えることにした。

「……ありがとう」

小さく礼を言うと、飛段が誕生日席へと角都を座らせる。
すると皆にぞろぞろ集まってきた。

「オイラはC2のフィギュアだ、うん!」

デイダラは粘土細工を目の前に置いた。
白いドラゴンである。

「ほらよ。俺の芸術作品だ」

サソリは20cmくらいの小さな傀儡を角都に渡した。
それは飛段にとてもよく似ていた。

「俺からは温泉チケットだ」

イタチがチケットを2枚、角都に渡した。
1泊3食付きのチケット。しかも名湯のである。

「喜んで貰えるといいですけどねぇ」

サソリは先程の温泉に行けるようにと、交通費が入ったICカードを渡す。

「角都にはとても感謝しているわ」

小南は新しいアタッシュケースを差し出した。ピカピカと銀色に輝いている。

「これからも頼む」

ペインは特注クナイの十本セット。
切れ味抜群である。

「ボク、結構真剣に考えましたよ!」

トビは孫の手と高級なお茶のセット。

「俺からはこれだぜ!」

飛段はジャシン教の教典セットを机に置いた。
角都はそれらを有り難く受け取り、箸でレバ刺しを一口。

「………旨い」

その一言で、皆笑顔になった。









角都は忙しい。
賞金首や任務、金であちらこちらへ。
それはいつの日も変わらず、忙しい。
きっと、明日も忙しいだろう。
でも、今日は特別、のんびりする日。
美味しい料理、美味しいお酒。様々なプレゼント。
そして、こんなにも自分を祝ってくれる仲間達。
角都は嬉しくてたまらなかった。
角都はいつでも忙しいけれど、今日だけは忙しくない日。

それが角都の誕生日。






Fin



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