■彼氏の顔(角飛)
「角都ー!」
スパーンッと襖をあけた飛段。
角都は読んでいた新聞をしまい、答える。
「何だ騒々しい」
「デイダラちゃん達が顔見せてほしいってさ」
「………そうか」
いきなり何を言い出すと思ったらそんなことかと、角都は思い、デイダラの所へ行くことにした。
リビングに行けば、デイダラやサソリ、鬼鮫にイタチまでいた。
「お!?見せてくれるのか!?うん!?」
デイダラは角都の顔を見て目を輝かせる。
サソリは目をひんむき、じっと角都を見る。鬼鮫は何やらニヤニヤしている。
イタチはひたすら団子を食べていた。
「……なんの話だ」
「だぁからー、顔、見せてやれよ」
「…………そういうことか」
角都は飛段が言いたいことを理解し、落胆した。
重要な事かと思えば、ただくだらない用件だったみたいだ。
「本当にイケメンなのかよ」
サソリが眉を潜める。
その言葉に飛段は反論した。
「マジで格好良いんだよ!なんつーかな…ワイルドな感じ!」
「ワイルドねぇ……」
角都はそんな光景を見たあと、自室へ帰ろうとする。
「おぉーっと!だめだぜ角都!」
飛段が角都の腕をつかんだ。
「…何故俺がこいつらにわざわざ顔を見せねばならんのだ」
「なんだよー。減るものじゃねーからいいだろ?お願いっ、角都ちゃん!」
角都はため息をついた。
顔を見せねば返してくれないだろう。
角都は凄く嫌な顔をしたあと、仕方なく口布を外した。というか頭の頭巾ごと脱いだ。
「おお……」
デイダラが声を漏らす。
サソリはじっと角都を見て、鬼鮫は一枚写真を撮った。
イタチは団子を食べてはいたが、目だけは角都を見ている。
「な!?な!?格好良いだろ!?」
飛段が一人で声をあげる。
「……予想外に整ってるな。うん」
「後ろから見たら大蛇丸みたいだな」
サソリの言葉に、鬼鮫も同意する。
イタチはひとしきり見たあと、再び団子に目をうつした。
「………これでいいのか」
角都はやれやれと頭巾と口布をつける。
飛段は興奮冷めやらぬ様子で、声を荒げる。
「なんでだよー。いつも顔だしてりゃいーじゃん!折角格好いいのによ!」
格好いい格好いいと言われて、気分が悪くなるはずがない。
角都は飛段の口を左手でふさいだ。
「……うるさい。それ以上言うと、口を縫うぞ」
角都が出ていった後、飛段はにんまりと笑った。
「これが!俺の!彼氏の顔!!」
皆、予想以上に角都の顔が良かった為、頷きながら手を叩くほかなかったのだった。
Fin