■歳の差(ガイリ・カカイル)
「ガイ、お前さ、ロリコンな訳?」
昼休み、珍しくカカシから話しかけてきた。
俺は丁度屋上で腕立て伏せをしている途中だった。
腕立て伏せを一旦やめ、胡座をかく。
カカシは俺に手に持っていた水を寄越した。
「は?」
「いや、違うか。ショタコン?って言うのか?」
「俺に聞かれても……ショタコンって何だ」
言わんとしていることは分かった。
リーと付き合っている事だろう。
カカシは俺の隣に座る。
「ま、俺としてはお前が誰と付き合おうが、別に良いんだけどさ…」
「?」
「何でリーくんなの?」
俺は貰った水を一口飲む。
「……何が言いたい」
人徳を欠いているとでも言いたいのか?
すると、カカシは少し目を見開いた後、笑顔に変わった。
「やだな。そんなつもりで言ったんじゃなーいよ。俺は恋バナがしたかっただけ」
想定外の言葉をに俺は驚いた。
恋バナ?恋バナって、恋愛話のあれか。
あのカカシが?
「お前好きな奴いたのか!」
「あれ、知らなかった?」
「全く!」
誰だ?
上忍の女でカカシに気がある奴なんでざらにいる。
「誰だ、それは」
「ナルト達の担任の先生」
担任………となると。
「?お前か」
「何でそうなるの。それだったら単なるナルシストでしょ」
本当は分かっていた。
アカデミーの中忍。
名をイルカと言ってた。
カカシも男を選んでいたのかとぼんやりと思った。
「俺の事はともかくとして、リーくんはどうなの」
「あいつは可愛いよ。真っ直ぐでひたむきで、何より根性と熱血がある」
勿論弟子としてだけではなく、恋人としてもだ。
「歳の差感じないの?」
カカシはぽやっと空を見上げる。
俺はうーんと唸った後答えた。
「歳の差はあまり感じたことないな」
「ふーん。じゃあさ」
カカシはこちらをチラリと見る。
「もうヤッた?」
「な!?」
心臓が大きく脈打った。
突然何をいう。俺は大きく咳払いした。
「カカシ、忘れたのか。この里には18未満とは交わってはいかんという法律があるんだぞ」
「つまりヤッてないわけか」
「当たり前だ」
「ふーん」
カカシがニヤリと笑った。
正直気味が悪い。
「甘酸っぱいねぇ〜」
俺の可愛いリー。
そりゃ何度も押し倒したいと思ったさ
。
でも大切にしたいからリーが18歳になるまでの我慢。
「お前の所はどうなんだ」
「俺?俺はもー毎晩っ」
「まっ、毎晩!?…イルカは嫌がったりせんのか」
「そりゃ恥ずかしいって嫌がるよ。だからイルカ先生が寝静まった後に襲う」
俺はイルカに少し同情してから、恐る恐る聞く。
「やっぱり、ローションとか持っていた方が良いんだろうか……」
リーが18歳になった時といっても、きっと痛がるだろう。
失敗はしたくない。恥を忍んでカカシに聞くことにした。
カカシは答える。
「いる。まぁ、最初はそれどころじゃなくなるんじゃない?」
「何故だ」
「まず他人に尻を触られる事になれないといけないからさ」
「そうなのか……」
言われれば確かにそうだな。
俺も他人に尻など触られた事がない。
きっと変な感触なんだろうな…
「あれ、リーくんじゃない?」
カカシが指差した方向の遠い道を見ると、確かにリーの様な服を着た人が歩いている。
「ま、リーくんが18になるまでに勉強しときなさいよ。じゃーね。」
そう言ってカカシが消えた。
俺は立ち上がり、屋上の柵に脚をかける。
リーが18になるまで後数年。
俺はその時を夢見ながらリーの方へと走った。
リー、それまで…いや、それからもずっと大切にすらからな。
「リー!」
俺の声が聞こえたのか、遠くでリーが手を振ったのだった。
Fin