ガイ班 | ナノ




入浴剤(ガイリ)






「珍しいな、弁当なんて……って、それなんだぁ?」

ガイが目を丸めてカカシの弁当を見た。
カカシはもぐもぐ食べながら、にんまりと笑った。

「いいでしょー。イルカ先生が作ってくれたの」

カカシは目の前の椅子に座るガイに、これ見よがしに弁当を見る。

「林檎ケーキ。おいしい!」

「ケーキィ?握り飯を食え、握り飯を!」

ガイはお弁当箱…大きめなタッパーから出したお握りは、大きくて丸く、のりが全面にはられたお握りだった。
そんなお握りを見て、カカシは少し哀れんだ顔をする。

「ガイ……お前にも来るといいな、春が」

カチンと来た。
ガイはケーキを少しだけ掠め取り、ぱくりと食べた。

「あー!!イルカ先生のケーキ!!!」

「俺だって春くらい来てる!!」

カカシが喚いてるのを余所に、ガイはお握りをバクバク食べた。





ーーーーーーーー






空は晴天。
リーはナルトと一緒に里から少し離れた原っぱに来ていた。
最初はナルトと一緒に肉弾戦の訓練。次に筋トレと、なかなか充実していた。
そして今、休憩がてらにお互いの近況等を報告しあっていた。

「んーでよ、ヒナタにあげるプレゼントを考えてるんだけど、これまた良いのが思いつかないんだってばよ」

「ヒナタさんにあげるプレゼントですか…」

ナルトは日頃付き合っている恋人に何をあげようかリーに相談していた。
本来ならサクラに聞くのが正しい選択なのだろうが、その一途な性格な上、同性のリーにあえて相談していた。
リーは、うーーーん、っと頷く。

「やはり、二人で使えるものがいいのではないでしょうか」

「ふたり?」

ナルトは首をかしげる。

「ヒナタさんにあげるプレゼントとしては少しずれてるかもしれませんが、二人で使える分、うんと良い時間が過ごせると思うんです」

その言葉を聞いてナルトは明るくなる。

「確かにな!…それで、たとえば?」

その言葉にまたリーは唸る。
そして思い付いた。

「入浴剤とかどうですか!?」

「入浴剤…………?」

ナルトは想像する。
柚子の香り漂う湯船に、ヒナタが浸かっている。そこに、自分も入るシーンを。

「わ!ナルトくん!鼻血!!!」

「え?うわっ!!」

リーに指摘されて鼻下を拭うと、血がべっとりと右手についた。

「下を向いてくださいナルト君!」

ナルトは言われた通りにし、鼻の付け根付近をつまむ。

「ごめんな、ゲジマユ」

照れ臭そうに言うと、リーは笑った。

「何言ってるんですか」

そして思う。
自分もガイ先生に何かプレゼントしようかと。





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夕方、リーはナルトと一緒にプレゼントを選んだ後、ガイの家へと向かっていた。

(ナルト君、今頃ヒナタさんと会っているのでしょうか)

上手くいくといいなと思いながら歩く。
左手には紙袋。
ガイにあげるプレゼントである。
中身は昼間自分でナルトに提案した入浴剤が入っていた。
ナルトは入浴剤を渡すことによってスケベだと思われないか心配していたが、結局ナルトも入浴剤を購入していた。

リーは角を右に曲がる。
するとすぐそこにガイの家があった。
電気がついている。
ポケットから鍵を取りだし、鍵穴に差し込んだ。ガイの家の合鍵である。
好きなときに来て良いと言われてるのだが、実際に使ったのはこれで2回目。
鍵を回し、ドアを開けると、そこにはガイがいた。

「リー………!!」

「ガイ先生、お、お邪魔します」

中に入ったリーをガイは思いきり抱き締めた。

「鍵を開ける音がしたから誰かと思ったら……やっぱりお前だったか!!リー!!」

「ガイせんしぇ…くる……苦しい……」

「おお、すまん!嬉しくてつい!」

やっと解放され、リーは紙袋をガイに差し出した。

「ん?これは?」

ガイは紙袋を手に取り、中を見る。
透明なプラスチックの箱に、細く切られた紙と、淡い黄色や紫の星形の入浴剤が入っていた。

「入浴剤です」

「入浴剤!?」

ガイは驚いた。
リーがこんなに積極的だからだ。
付き合い始めて結構経つが、リーの気持ちを考慮して、触れるだけのキス止まりだったのだ。

「…ありがとうな、リー。さ、上がっててくれ。俺は風呂の準備してくる」

ガイはにっこり笑ってリーの頭をひとな 撫でしたあと、浴室の方へと消えていった。
リーはふぅーーー、と息を吐いた。
正直緊張していた。物凄く。
引かれはしない事は分かっていたが、つまり自分から「一緒にお風呂に入りませんか」と言っているものである。
そして、一緒に風呂に入るということは、キス止まりの先へと行くのではと心臓が高鳴っていた。
リーはリーなりに、ガイが何故手を出してこないか検討がついていた。
そしてそれは正解だった。

リーはリビングへと入り、ちょこんと座布団の上に座る。
無機質な内装だった。
基本的にすっきりしているが、やはり男の部屋。
ビールの空き缶が所々落ちている。
今日の新聞だろうか、机に乱雑に置かれていた。
ザァアアッと、ガイが風呂を洗う音がする。

(それにしても、緊張しますね…)

リーはなにか気が紛れるような物を探す。
すると、左にあった座布団の下に、何かの切れ端が見えた。
それは何かの雑誌の様だった。

(まさかガイ先生が……!!いやいや、先生も男、あういう雑誌を持っていても不思議ではないですよね!)

リーはそっと座布団の角を持ち、そーーっと持ち上げた。
すると、パンツしか履いていない筋肉隆々の男が。

(あ、れ?)

見出しには「筋肉に効く!!プロテイン有効活用術!」と書かれている。
その雑誌を手に取り、中身を見た。

(体幹を鍛える一週間メニュー………チャクラを具現化しやすくするにはここを鍛えろ……)

リーが思っていた如何わしい雑誌等ではなかった。
ただの筋肉や体術のトレーニング雑誌である。

「それ、なかなか面白いだろう」

「っ!!?」

いきなり声をかけられ、驚くリー。

「……?、驚かせてすまんな」

「い、いえ、すいません…」

ガイはリーの隣に座る。

「プレゼント、ありがとな」

リーは、気がついた。
ガイが帰ってきたということは、今湯をいているということ。

「…せ、せんせい」

勇気を出して声を出すと。

「なんだ、リー」

やさしい声が帰ってきた。

「ぼく、今夜……泊まってもいいですか」

先生の顔が見れない。

「………」

返事が帰ってこない。
どうしよう。
その時、そっと抱き締められた。
それが、答えだと理解した。




ああ、先生、だいすきです………








Fin



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