甘くてキュートな君が好き

「…っん」

ちゅ、と幼いリップ音を響かせたキスに、ゴールドは身をよじる。熱い指先が汗で冷えた背中を這っていき、そこから生まれる欲が、ゴールドの内側の熱を沸々と沸き上がらせていく。

「、っあ」

不意に起こされた柔な刺激と、ぐちゅりと耳を犯す卑猥な水音にゴールドは足先をびくつかせた。先端を執拗に攻め立て、時折筋を優しくなぞり、仕上げとばかりにゴールドの中で三本の指が彼の鳴き所をえぐった。その、堪らない刺激に、ゴールドは全身を震わせて、手の平で口元を押さえながら堪えていた。
ちらり、と涙目の瞳で見上げれば、そこには至極愉快そうに笑う彼の甘ったるい顔立ちがあるばかりで、ゴールドにとっては少しも嬉しいものではなかった。

「…そ、んなっ、たの、し…っん、かよ…っひ、んんっ」

赤い唇を覗かせて話す言葉憎まれ口なのに、時折こぼれ落ちる声音が酷く甘い。自分の粘液でべたべたになるまで愛してしまいたくなる。自分の膝に向かい合わせに座らせて、ゴールドの全てが見えるようにして彼を解しながら、ルビーはふと笑った。
可愛い愛しいボクの恋人。麻薬中毒者のようにドラッグに吸い付いては、舐めて噛んでその甘露な味を楽しんだ。甘い悲鳴は耳に心地好いし、たった10本の指で強気な彼をぐずぐずに崩れさせていけるなんて、なんて至福。

「ええ、それはもう。こういう時だけは素直で可愛らしいものですから、貴方」

首筋を舐め、顎を噛み、唇を食む。は、は、と苦しげに震えた吐息を吐き出して、熱に浮かされた瞳で物欲しげに睨んでくるゴールドをルビーはにやにやと見つめた。悪趣味、と吐き捨てられた悪態すらも愛おしかった。

「だって、貴方のココはボクが欲しいってねだってボクを離そうとしないじゃないですか」
「っ、…あ、ぁっ」

ぐちゃぐちゃと掻き乱す指の律動に合わせて、ゴールドはびくびくと背中を粟立たせる。紅潮した頬を滑る汗と、控え目に零れる芳しい花の色の香に、ルビーはクラクラした。
ちゅう、とまた唾液で濡れた舌を吸い、滲み溢れた涙を舐めとりながら、ルビーは囁くようにしてどうしたい?と意地悪くゴールドに聞いてみた。本当に最低。その生々しく濡れて光るお前の指先が全てを物語っているというのに、彼は酷く可愛がり屋だから。

「い、れて…っんだろ…っ、すれば、すきっ、に…っぁ」

強気な口調なのに、苺のように赤い顔。ゼリーのように濡れた瞳。ぐずぐずに蕩けた舌先や体。甘い甘い、全てが甘い、崩れたケーキよりももっと甘い。

「…はい、愛してます、ゴールド」

彼がこの呼び方に弱いことを、彼はよく知っていた。
そうして何かに気付いたようにこちらを向いて、酷く煽情的な甘美な笑みを浮かべながら、唇の前に人差し指を指して、彼に聞こえないように、そっと、言った。


(……ね、So, Cute.)



甘くてキュートな君が好き
(ホルマリンにて薬漬け)


20130301
(20120619)



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