CLAP THANKS 御礼小説 // 宿主 僕は夢を見ていた。 見ていたと知っていた。 夢なら何してもいいよねぇ。 右手に持った包丁は、僕を優しく慰めてくれる。 お腹に目掛けてそれを刺したけれど、ちっとも痛くなかったんだ。 無重力でぷかぷか浮かぶ赤色。 つやつやしていて、とってもキレイ。 傷ついて血を流すそこを、僕は自分自身で抱きしめる。 だって仕方ないでしょ。 こうじゃなきゃ愛せない。 だからおかしいなんて言わないで。その優しい瞳がときどき酷く苦しく思う。 裂いて、なかを掻き出して、ぶちまけたものと、血に濡れた自分を、今度こそきっと好きになる。 助けてくれるのは僕だけでいいの。 足元にはたくさんのザクロ。 右手の包丁は隠している。 じっと座ったまま、待ち続ける。 「君を救えるのは僕だけだよ」 君を殺す準備は出来ていた (伝えたいことがたくさんあるんだ) |