笑いながら話す勇太を横目に、
仁王の中学時代から先のこと全然知らなかった
自分に悲しくなってきた。

…仁王が建築家かぁ。全然知らなかった。
確かに仁王の親父さんが建築家だったけど…
まさか親子揃って同じ職業だったなんて。


ほんとに俺、仁王の恋人なのかよ…。
こんなことも知らなかったなんて…。



「おい?ブン太?大丈夫?」

「…っ、…あ、わりぃ。考え事してた。」

「別に大丈夫だけど、…なんか相談したいことあったら言えよ?
まぁ、聞く専門だけど!!」

「おう!ありがとな。」

心配してくれる勇太は高校まで一緒だったジャッカルと
同じくらい好きだ。優しいしな!

でも、声をかけてくれたからと言って、相談するわけじゃないから
俺の胸の中はモヤモヤと黒い雲がかかってる。

今日の授業は二時間だけで終わりだった。
家に帰って掃除だの洗濯だのやったけど時間は
そんなに進まない。


ふと部屋の角にあったラケットバッグが目に入った。

「…たまには、やろーかな。」

俺はジャージに着替え、前に仁王が壁打ちしていた公園に行った。
正直あんまし行きたくなかったけど、ここが一番近いから
しょうがないと踏ん切り付けて来た。

公園ではちびっこ達がたくさん遊んでいて、
それを見守る家族が笑顔で我が子を見ている。



いつか俺も仁王と…。
そんなことが俺の頭によぎったが、それは無理な話だ。
まず、恋人なのかもわからないし。
ブルーな気分になったが仕方ないと諦め
人気の少ない壁打ちスポットに向かった。

久々に持ったラケットは少し重い気がした。
一年前までは毎日のように持っていたのになー、と思い出す。

しかし、ボールを手から地面に落として見れば
王者立海の実力かすんなりとボールを
壁に打ち込めた。



パーンッ…タタタッ…パンッ…

ボールを打ち込む音や自分の走る音…。
だんだんと懐かしく感じて様々な思い出が蘇ってきた。

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