「お願いもうやめて」

腕に縋り付く名前を振り解き、既に気を失いかけている兄の頬を力一杯殴りつける。

彼らの浮気が発覚してもテレンスは名前には一切手を上げなかった。

その代わりダニエルには彼がいくら謝ろうと決して許さず、殺してしまうんじゃないかと思うほど酷く責め抜いた。
それが彼女に対する一番の仕打ちだと分かっているから、わざと目の前でいつまでも甚振り続ける。


「お願い、殴るなら私に」

しかしそれにしても、必死に兄を庇う名前が不愉快で堪らない。
そんなにこいつが好きか。
そう問えば、きっと口ではNOと、魂ではYESと答えるのだろう。

テレンスは更に高まった怒りを拳に変えて、動かない兄の身体に文字通りぶつけた。




「さて、じゃあ次は君だ」

ついに気を失ってしまったダニエルを床に転がし、ベッドに名前を連れ込んで洋服を脱がせる。
すっかり怯え切っている彼女はされるがままに震える裸体を彼にあずけた。






弄る手の動きに合わせて喘ぐ声とは裏腹に、秘部には全く潤いを感じない。

「感じているかい」

「ええ…とても、いいわ」

NO!NO!NO!

演技で媚びながら挿入を急かす名前は、明らかに行為を早く終わらそうと必死になっている。



「愛してるわ、テレンス」

NO!NO!NO!

お前の本音など読心せずとも分かっているさ。

全然準備の出来ていないそこに力任せに捻じ込むと、擦り切れて血液が滲んだ。
名前が歯を食いしばる。



「あなたしか愛してないわ、テレンス」

NO!NO!NO!

痛みの中で懸命に笑顔を作ろうと口を歪ませ、心にもないことを言う。
その姿は哀れそのもので、裏切られた彼の心を幾分癒した。




ひとしきり彼女を苦しめてから、テレンスはまだ達していない自身を引き抜いた。


「許してやるよ、兄さんも名前も」

「あ、ありがとう…」

予想外に早い許しの言葉に、彼女は喜びよりも驚きの表情を隠せていない。
きっと、これからもっと辛い責め苦が待っているんだと覚悟を決めていたのだろう。


「いいさ。人形は抱くには冷たすぎるからね」

もっとも、今のままでも君はオレの言い成りのお人形と変わらないけれど。

言葉の意味がわからず困惑している名前に、彼は満足気に薄笑いした。

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