口紅が、柔らかな唇の上を軽く押し潰しながらなめらかに滑る。

ベッドの縁に座り、手鏡を片手に慣れた手つきで化粧を直す名前。
先ほどの行為のため、着用しているスカートには皺がつき、尻の下のベッドシーツは乱れている。

彼女のきゅっと閉じた唇が赤く染められていく様子を、ミスタは奇妙な集中力を持ってじっと見つめていた。

挑発的に上がった口角、ふっくらと弾力のある下唇。

数分前まで何度も触れて、口付けて、吸っていたその唇に、彼の目は今更ながら釘付けになっている。


赤は人を興奮させるいやらしい色だ。

そんな色で自分の唇を飾るなんて。


ミスタの下半身はいつの間にか硬さを取り戻している。


赤く塗られた唇を白く、修正液みたいに真っ白く上塗りしてやりたい。


「どうしたの、そんなに珍しい?」

自分に向けられた視線に気が付いて、名前は面白そうに笑う。


「いや、別に。ちょっとこっち来いよ」

「なに?」

何の疑いもなく近寄ってきた彼女の頭を乱暴に掴み、ジーンズの膨らんだ股間へ押付けた。


「やめて、化粧が崩れちゃう」

「いいじゃねーか、オレのためにしてんだろ。それともなんだ、オレの他に媚び売りてえ野郎でもいんのか?」

「そんなことな…、うぐっ」


名前の言葉を無視してジッパーを下ろし、彼女の小さな口に反り返ったものを捩入れる。
狭い口内はミスタのペニスを温かく包み込んだ。

「んん!…ぐ、むぐう!…ふ…」

逃げる頭を両手で押さえ付け前後に揺すると、苦しそうなうめき声と共にぬるりとした唾液が出てきてとても気持ちがいい。

更なる快感を求め、根本まで入るよう深く押し込んでみる。

先端が喉に当たり、噎せて吐き出しそうになっている名前を全く気にも留めず、ミスタは自分のいいように彼女の口内を犯し続けた。




「あぁ、もう出る…」

まるで自慰をしているかのような身勝手さで、ミスタは限界を呟くと同時に勢いよく射精した。

名前が慌てて口を離すから、放った精液は彼女の唇だけではなく頬や顎にまで垂れて糸を引く。


「…苦い」

顔をしかめている名前の唇に、彼はわざとペニスをなすりつける。

丁寧に引かれた赤を白い修正液で塗りつぶすイメージ。

溶けた口紅と精液が混じって名前の口元はどろどろに汚れた。


「はは、汚ねー」

「酷いよミスタ…」


涎と精液にまみれた顔を拭いながら、名前が涙目でミスタを睨んだ。


「悪ぃ、悪かった。つい出来心で…。もうしねーから許してくれ」

先ほどまでの態度とはうって変わって平謝りで許しを請う。

しかしそうしながらもミスタの頭の中は未だ彼女の唇にこびりついた白濁のイメージでいっぱいだった。


彼が自らの秘められた性癖に気付く日は近い。

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