Untitled

その薄い唇が額に触れてきた瞬間、私はこんなにもニールのことが好きなんだって、改めて思った。

「抱き付いても、いい?」
「もちろん。ハロのお好きなように」

悪戯っぽく笑った彼に、遠慮しないで思いっ切り抱き付く。
ニールは広い胸の中に私の身体を受け止めて、そのままベッドに押し倒した。
首筋に落ちてくる柔らかな髪と吐息。

「ハロ」
「……ん」

耳元で囁かれた声がくすぐったくて、思わず肩をすくめる。
下りてきた唇が軽く触れるようなキスをして、時々誘うように深く差し込まれる舌先に自分の舌を絡めた。
互いの粘膜を触れ合わせる感触の心地良さは、まるでセックスと同じ。
愛しているから交わすことの出来る、言葉には出来ない、最高に幸せで濃密な口付け。
離れて行こうとする唇を追うように舌先を伸ばしたら、いつもみたいにニールは微笑んでくれたけど、その表情が凄く色っぽく見えて思わずどきっとする。
何だかとっても恥ずかしい。

「三ヶ月ぶりだ」
「うん」

目の前でシャツを脱いだ色白の身体は、何度見ても溜息が出そう。
鍛えられて割れた腹筋と厚みのある胸板、綺麗に筋肉の付いた両肩から伸びている逞しくて長い腕。
普段仲間に見せている柔和な雰囲気とのギャップに、いつも頭の中がくらくらして目のやり場に困ってしまう。
ニールの指が胸元のボタンをひとつ外していくたび、私の体温も一緒に上がっていくように感じる。
恥ずかしいけれど、きっとこの身体の奥は濡れ始めている。 
好きで好きで堪らないから、その手に触れられる前にはもう、いつだって私は欲情してしまう。
服を脱がされた素肌の上、あちこちを吸うようにキスをされて、大きな掌も愛撫を始めるために動き出す。
唇の隙間から覗いていた赤い舌が無防備になった胸の先をゆっくりと舐める。
私を愛撫している真剣な表情にぞくりとした震えが背筋を這い上がって、その反応に気付いたニールがもっといやらしく舌先を動かした。
ニールの触れている場所、全てが熱い。
私の身体がニールに変えられ、熱く溶けていく。


彼の指を呑み込んでいる潤みの中、私の声が大きくなる場所を長い指の先が執拗に擦り上げる。
濡れた音をわざと立てないで欲しい。
そんな風にされたら、もう我慢が出来なくなる。

「ニール……っ」
「我慢すんな。いっていいから」

米神に落とされた優しいキスとは反対に指の動きが激しくなって、私の身体は簡単に弾けた。
半分ぼうっとしながら肩で息をしていると、霞んだ視界に映っているニールの顔が下へと移動していく。
すると彼の掌が、力の抜けた私の両脚を大きく開かせて。
一瞬で我に返った時にはもう遅くて、ニールの唇が蕩けきったその場所に触れた。 
恥ずかしさで開けていられない瞼をぎゅうっと閉じると、十分敏感になっているその場所から柔らかな唇の感触が余計リアルに伝わってくる。
全部を覆いつくすように舌で舐め上げて、往復を繰り返しながら、ついには深くに潜り込んだ。
激しい快楽が押し寄せるたび、また独りで上りつめてしまいそうになる。
このままだとニールとひとつになる前に、意識が飛んでしまうかも知れない。

「……はや、く……」

もう、まともに声も出せない。
最後、一際大きな刺激を与えるように強く全体に吸い付いて、伏せていた顔を上げたニールが濡れている自分の下唇を舌先で拭った。
長い前髪越しから覗いている碧色が、じっと私を見下ろしている。

「俺も、そろそろ限界」

掠れた声が聞こえて、堪らないと言いたげに伸ばされた指先が、私の髪を愛しむように撫でてくれた。
真っ直ぐに向けられる視線は、いつにも増して艶っぽい。
欲情している。
その視線に淫らな期待をしてしまった身体の奥がじんと熱くなって、もっと私も欲情する。
入り口を押し広げていくあまりの硬さに息を止めてニールの両肩につかまった。
受け入れるのは久しぶりだから、いつもよりきつくなっているのかも知れない。
大きく両膝を開かれて身体の重みを掛けられると、蕩けきった私の入り口は張りつめた硬さを奥へと呑み込んでいく。
その形も、大きさも、熱さも。
はっきりと私の身体の中に、ニールが入ってくるのを感じる。
目の前で、ニールが切なげに眉を寄せて息継ぎをしていた。
男の人にこんなにも色気を感じるなんて、彼以外に有り得ない。
気付けば必要以上に開いた両脚が恥ずかしくて閉じようと力を込めると、膝を押し上げている掌がそれを押し止めた。
そのまま、ゆっくりと動き始める。
全部、見られながら。  

「すぐにでも、いっちまいそう」

物凄く色っぽくて淫らな声が上から降ってきた。
恥ずかしさと気持ち良さとで、本当にどうにかなってしまいそうだ。


優しく唇を舐められてキスを求められる。
それでも動きは苦しいくらいに激しくて、二人が繋がっている場所はもうぐちゃぐちゃだった。
私は何度も打ち付けてくるニールの腰を、ただひたすら受け止めた。
重なる肌に少しの隙間もないほど、お互いを強く抱き締める。
そうすればその分、二人が奥深くまで交じり合えることを、私達は知っているから。
もう自分が何回達したのかも、ニールが何度熱を出したのかも分からない。
繋がったまま二人してどろどろに溶けていけるんじゃないかって本気で思えるくらい、私達は入り混じっている。
ふと、このままニールの腕の中で死んでしまえたらいいのにと、そんな退廃的な想いが頭の中に浮かぶ。
私は急に切なくなった。
幸せ過ぎて。
だって、こんなにもニールに愛されている。
思わず涙ぐんでしまった私の顔を間近に見つめたニールが、動きを止めることなく、途切れる声で小さく呟いた。

「……このまま」

本当に逝っちまっても構わねえな、と。
掌を握り合い、繋がったままの身体はニールの下で、また激しく揺らされる。
もしかしたら自分が感じている以上に、私はニールに想われれているのかも。
そう考えただけで、今までよりもっと幸せな気持ちになれた。
ニールの優しい瞳が私を見つめる。
ニールが私に愛しむようなキスをする。
また私は思いっ切り、ニールの背中を抱き締めた。




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