Meltdown

シャワーを浴びてからニールが眠っているベッドにもう一度潜り込んだのは、明け方近く。
いつも後ろから抱き締めてくれる彼と同じように、私からその広い背中に抱き付いて、綺麗な肩のラインにそっとキスをする。
『愛してる』
ついさっき、何度も囁かれた声を思い出しながら全身で感じるその温もりと匂いに安心して、いつの間にか私も眠りにつく。


眠りに落ちる前にはなかったはずの背中の温かさに、ふと意識が戻る。
首筋に掛かる小さな吐息に、起こしてしまわないようそっと身体の向きを変えて、眠るハロを抱き寄せた。
この化粧っ気のない可愛い寝顔を眺められるのは、自分だけの特権。
腕から伝わってくる柔らかな感触と、鼻を掠める甘い匂いに堪らなく満たされた気持ちになり、俺はもう一度瞼を閉じる。


部屋の中に薄っすらと差し込んでくる優しい光が、穏やかな目覚めを迎えさせてくれた。
気が付けば私の身体はいつの間にか、ニールの逞しい腕の中にしっかりとおさまっている。
頬に当たる引き締まった腕の筋肉に、鼻先をくすぐる茶色の髪。
彼の首筋に沿う柔らかな髪に顔を埋めて、思い切りニールの感触を楽しむ。
私だけが味わうことの出来る、この幸せ。


まるで甘えるように顔を摺り寄せてくるハロの小さな肩を、そっと抱き寄せる。
さらりとした髪が頬に触れ、俺はそこへ黙ったまま唇を押し当てた。
すると少し驚いたように見上げてきた綺麗な黒の瞳が、すぐ嬉しそうに細められて。
そんな無邪気なハロの笑顔にさえ、俺は朝っぱらから欲情してしまう。


「おはよ、ニールも起きてた?」
「ヤバい……今すぐ抱きたい」
「眠る前、したばっかりなのに?」
「お前さんを愛してる証拠じゃねえか」
「何それ……」


眩しい光の中でくすくすと笑っているハロの髪を繰り返し撫でながら、顔を近づける。
触れ合った唇の隙間から舌を伸ばし下唇を舐めると、すぐにハロも濡れた舌先を差し出してくる。
それを奪うように強く吸い付きながら、一番深く交わえる角度を探りあてて。
身体を起こしゆっくりと覆い被さるように、上から口付けた。


彼の身体の重みを感じるだけで、すぐに体温が上がり胸の中さえ熱くなってくる。
唇が離れて行くと、ブラインドの隙間から漏れる明るい光の中で、色気に満ちた表情のニールが真上から私を見下ろしていた。
きっと、私も同じような顔で彼を見上げているのだろう。
強い力で両腕を捕らえられ、シーツに沈められながらそう思った。


朝も昼も夜も、時間なんて気にする余裕は疾うに無くしている。
お互いの熱で溶けてしまいそうなほどの快感に、いつでも腕を伸ばし抱き締めて、抱き締められて。
何度もキスをして、何度も名前を呼び合って、ひとつになる。  
それは、心も身体も融解するような、最高のメルトダウン。




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