Change my world (6)

(ニール・ディランディ……)

男の腕に抱き上げられながら、まだ半分ぼうっとした頭の中で、ハロはその名前を繰り返す。

(ニール……)

何も知らず、すぐに殺された方がましだった。
必死に抗う自分の中へニールが入ってきた瞬間、内側から身体を焼かれるような感覚がした。
突き上げられながら、痛みだけではない別の何かが腰の奥からせり上がってくるのを感じ、懸命に唇を噛み締めていた。
その感覚を思い出せばハロの唇は微かに震え、そっと吐息を零す。
ニールはハロを抱き抱えてリビングを出ると、隣の部屋に向かって歩き出した。
ドアを開けても部屋には入らず、すぐにまた別のドアを荒々しい手つきで開けていく。
何かを探すように勢いよく開けられたドアの音が、ハロの背中にぞく、と、予感めいたものを走らせた。
そして寝室のドアノブに手が掛かる。
力の入らない両腕で目の前の身体を何度も叩いてみても、全く無意味だった。
何とか逃れようと動かした身体は、いうことを利いてくれない。
これではまともに歩くことさえ出来そうになかった。
抱えられたまま部屋の中へと入り、すぐにベッドの上へ下ろされるとハロの両脚の間から、とろりとしたものが流れ落ちていく。
それは、泣きたくなるほど淫猥な感覚だった。
咄嗟に背を向けるように捩った身体は、容易く元の場所へと引き戻されてしまう。

「もう、いいでしょう……早く殺して」
「まだ足りねえ」

強引に服を剥ぎ取られ、自分のシャツを脱ぎ捨てたニールの大きな手のひらが、もがくハロの両手首を頭の上で交差するように押さえつけてくる。
そして乱れた前髪の隙間から覗く透明な碧色に見下ろされた。
欲情が宿った瞳。
それなのに、向けられている視線は険しい。
胸を抉られるような気がした。
こんなにも心を揺れ動かされてしまう。
堪らずに顔を背け、懸命に手足を動かしてみても、目の前の身体はびくともしない。
おそらくニールは、何らかの訓練を受けてきた人間だと、ハロは直感した。
室内への侵入や視線の動き、拘束された時の動作、何よりも彼を取り囲む空気だ。
そして一般人のそれとは違う、綺麗に作りあげられた上半身。
滑らかそうな白い肌。
抗いながら自分を組み敷くその身体を見上げ、美しい男だと、ハロは素直に思った。
濡れた舌先が鎖骨に下りてきて、そのまま胸の上を弄る。
背中にぞくりとしたものが這い回り、頭の中がくらくらと揺れた。
まともな思考ができなくなる。
喉の奥から零れそうになる声を堪えた。
乱暴に犯されて最後には殺されるというのにニールに触れられる度、ハロの身体の奥底からは熱がじわじわと這い上がってくる。
自分の頭の中には正常な思考力など、最初から無かったのかも知れない。
片膝を押し上げながら一気に埋められた腰の深さに、白い背中が大きくしなった。
堪え切れずに漏らした声が悲鳴なのか嬌声なのか、自分でさえ分からない。
激しく繰り返される動きに合わせ、ハロは殆ど声になっていない喘ぎを漏らした。

「ああっ……」
「俺を、恨めよ」
「……んっ」
「恨め……っ」

熱くて、苦しくて、眩暈を起こしそうになる。
聞こえた低い声が、ハロの胸を激しく締め付けた。
今まで知らずにいた。
こんな感覚も。
そして、こんな感情も。







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