大人な関係
「今日も よかったよ◇」
ヒソカはシルバの銀色の少しウェーブのかかった髪を
指で弄びながら横顔を見つめた。
特に気に止める風でもなく シルバは 鍛え上げられた肉体を
ゆっくりと起こし服に袖を通す。
「少し飲みに行かないか」
「どういう風の吹き回しだい?そっちから誘うなんてさ◇」
「飲みたい気分なんだ」
いつもは 仕事でヒソカの誘いに乗ることすら珍しいシルバの誘いに
断る理由はなく同じく身支度を始めた。
***
「ギムレットを頼む」
「僕はブラッディ・メアリーを◇」
ホテルの向かい側にある薄汚れたバー、
初めて会ったのも こんなバーだったと思いながら
手際よく出されたカクテルを口にする。
「………」
「………」
聞き覚えのあるジャズが流れる店内で二人の間に 沈黙が続く。
アルコールが程よく回り始めた頃 シルバが口を開いた。
「…なあ、何でイルミじゃなく俺なんだ」
「…、何でだろうね◇」
「俺よりもイルミのが知った仲じゃないのか」
唐突な質問に表情は変えなかったが 内心 驚いた。
シルバが 何故、そんなことを聞くのか不思議だった。
しかし そう思ったのも一瞬で ヒソカにとっては
どうでもいいことにすぎない。
「貴方であって、イルミじゃなかった ただそれだけのことさ◇」
「だから 何で俺な…っ」
酔っているのか 同じことを繰り返し聞こうとする
シルバの唇を塞ぐ。ほんのりとライムの味がした。
「好きになるのに 理由がいるのかい?◇」
「…確かにそうだな」
「全く、柄にもないこと言わせないでくれよ◇」
ヒソカはシルバの大きな手で優しく髪を撫でられ
恥ずかしさを紛らわすために酒を煽る。
「ホテル、戻るか?」
「今日は積極的だね◇」
シルバはそっと ヒソカの額に口づけた。
「そんな気分なんだよ」
-END-
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