息すら殺戮し兼ねる程の熱の中、
それを探す事でいきて居られた。





「何だァ、こりゃ」



引き金を絞る指が攣ってしまいそうな瞬間に、後ろから古臭い歴史を感じる黄金の槍をいとも簡単に打ち砕く。ざあっとブレる視界の中で垣間見得た焼き印は、戦神の純然たる加護を受けている証拠だった。
甲冑に続けざま二発。流石に撃鉄のぶち当たる音に鼓膜が麻痺しぐらりとよろめいた、その巨体の首目掛けて、自分のちゃちな鉄製のナイフを甲冑と兜との間に強引に捻じ込んだ。
勿論、他人の赤い錆と土埃でなまくれたそれの殺傷力では、胡瓜すら切るのも難しい。
悪魔で保険、悪魔で補助、悪魔で、ハンデ。

「──ッほ、」

銃弾の道筋を辿る様に、相手の腹を駆け上がり、頭上でくるりと一回鐵。微妙な手の平の返しも忘れずに。
どんな魔法の風にも吹っ飛ばされぬ様にと、反抗呪文がびっしりと書き記された兜の裏は、その魔法式に少し傷がつくだけで簡単に効力を失う様な、思春期の乙女ぐらいにデリケートなものだ。

地に足がついたと思った辺りで、背中で嫌な慟哭を聞く、腹に響く低振動、苦しげに喉を掻き毟る音。振り返るのは無粋で面倒で、あとそんなものを見て楽しむ趣味なんて持っていない、から。
バリバリ、今日の飯は何にしようか、ぐおおおおぐぐぐぐ、そろそろ風呂にも入りたい、バリバリバリバリ、今日の傷はどの回路を破壊したのだろう、ウウウウオオオオオオ、苦しみ様から考えて毒煙か窒素蔓延か、バリバリバリバリオオオオオオオ、…鳴呼もう、うるさくて何も考えられない。

「Ha det !!」

月も太陽も天に昇らない世界で、
たった一人の神様はため息をつく。
これでは、息さえつけやしない、と。






これは昔のそのまた昔。
神々の黄昏時に昇った、
仮初めの夜の、物語。





オリジナルをオリジナルで捏造ってどんな仕打ちなのばかなの死ぬの?orz
ラグナロクもう終わった後的な。
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