甲斐甲斐しく自分の世話をしようとする幼なじみを家に返して、セブルスはクリスマスを微塵も祝わずに床につこうとしていた。あまり遅くなるとおばさんも心配すると言いくるめたら、何故か耳まで真っ赤にして小さくゴニョゴニョ何言か漏らしながらも退散してくれた。「ママってば過保護なのよ」という言葉だけは何とか聞き取れたのだが、他はそれよりもっと小さな声だったので諦めた。彼女はたまに良くこういう風になる。

暖炉の火の始末はしない。したところで最近は薪が勿体無い事に気付いたので、暖房効果も兼ねてそのままにしている。赤黒く発光する薪の上をちろちろと踊る火を眺めながら、何故かさっきリリーから貰ったローストチキンの味を思い出して口の中に唾が湧いた。久々の肉料理なのは分かるが、己の腹具合の卑しさはまだまだ健在らしい。貧乏は辛い。

吹き荒ぶ寒さに負けない様入念にありったけの毛布をベッドへ重ねて居たら、急に入って居る筈もない施し用のポストのチェックを忘れたのを思い出してしまった。祖父が居た頃には、月に一度貰える自分のお小遣いの五倍か六倍は入っていたそこも、最近はすっかり閑古鳥の巣である。
セブルスはげんなりした。折角寝る準備も整ったのに、今更また凍える様な寒さを身に受けなければならないのはかなり億劫だ。出来る事ならもう寝たい。明日は離れた小屋から床板の予備を持って来て、今日の穴を塞がなければならないし。

けれどそういうのを考えると、どうしても気になってしまうのは自分の性だ。ぼふっと枕に顔をうずめど、ちらつくのはポストばかり。いや、入ってる訳ないしとか思うのだが、もしかしたら誰かが、もしかしたらクリスマスだからと、もしかしたら入れてくれているかも。
いや、でも、しかし、だけど。うんうんうんうん唸り声を上げたセブルスは。

「……ええい、忌々しい」

今にも消えかかりそうな暖炉に、使い古しの小さな蝋燭を突っ込み、寝間着のままさっさと部屋を後にした。




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