神なんて信じない。
日夜身に纏う装束を半分反吐を吐きたくなる気持ちで見つめながらも、惰性でやっている神父という職から逃れられないのが今の現状だ。
然し流石に聖夜というべきか、いつもならば古びて穴の開いた雑巾みたいにしか目を向けられない此処も、今日は少し天の御心のお陰で輝いて見える…のは嘘、だ。

今嵌っている落とし穴に溜め息をつく。他の廊下より遥かに耐久性の有る場所だったからついつい使ってしまったのが悪かったのだ。然し場所も礼拝堂に近いし一番勝手が良いしなあまた修理するかとか口の中で思いながら、細くてモヤシみたいにひょろりとした腕で地上へと手を掛ける。普段気難しい自分がこんな無様な姿をしているなんて誰にも見られたくはない。一応周りをきょろと一度見渡して、まあ人なんて居ないのだが念の為、セブルス・スネイプは声を発した。どっこい。バキバキバキドスン。

「………」

まだ「しょ」まで言ってないのに、なんて愚痴る前に背中の痛みが襲って来た。今度は頭も打った様で、視界がぐらぐらして覚束ない。そう言えばお昼すら食べて居ないな、とか間抜けな事を思い出した。間抜けな音が小さく聞こえたのだ。くぅ。

「…メリークリスマスか」

神なんて信じない。
誰とも聞こえない声には、けれど誰かが急いで走り寄る音がまるでそれに応えるかの様に鼓膜を転がした。



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