「そんなに好きなら、
部活に入ればいいのに」
膝の上で目を白黒させて踊っているボールは、彼がしかめ面をした途端にコントロールを失い、空中で微かな上下運動をしてから止まった。器用だなと感心していると、隣に居た友人が笑いながらワケを話してくれる。
「サッカー部のマネージャーに告白されて、振ったことあるんだって」
何て猛者だと思って名前を聞いたら、隣のクラスの可愛いと評判の子だった。
明るいし足は綺麗なのに、何でだろう。
「馬っ鹿、勝手なこと言うな」
「いてっ」
「…サッカー部のは広すぎんの」
俺にはこれくらいで充分。
小さなゴールは一つだけ。たまに気が向いてはシュートを決めて。対戦相手も審判もない、ただのボール遊びなのだけれど。
暮れなずむ光に染まって、腹減ったなんて呟いた彼がそう言った意味は、何となく分かる気がした。
夕焼けのグラウンド、君の後ろ姿
(透かして見えた自由な羽根)
バスケかサッカーで迷った
どっちでも可。