くせっ毛で眼鏡の剽軽野郎。
そんな人種はこの世から消えるべきだ。
何の天罰か、一番静かで落ち着く数学の授業は、別クラスとの合同授業。

「センセー、後ろからカビ臭がしまーす」
「お黙りなさい、立たせますよ」

厳格を絵に描いたような、数学教師の冷たい言葉も何のその。ケラケラと耳障りな声でさえずって、奴は一向に閉口しない。
彼女は何故くじ引きなんていう不確実な可能性を発生させるような決め方で席を決めたのか、名前とかでいいじゃないか。
そしたら少なくとも、尻から伝わる座り慣れない椅子の感覚も、きっと我慢できた。
だから、僕の視界はこの時間、必ず左半分はホワイトアウトする。

「…ねー根暗クン」
「…」
「知ってる?」
「…」
「ねーねー」
「…何がだ」

周りの生徒がちらつかせる視線が痛い。
仕方無しに、限りなくテンションが沈下した声で応えど、奴には全く変化なし。

「この席、誰のだと思う?」
「…は?何を、」

にたりと笑うその下品さに眉を顰めかけた刹那、電撃のような閃きと現実が、脳髄を駆け巡る。見覚えのある鞄、お気に入りだと聞いたマフラー、お揃いで買わされたキーホルダー…

「ホント、厭きない」

くせっ毛で眼鏡の剽軽野郎。
そんな人種はこの世からいち早く駆除されるべきだ。
地球環境の為にも、彼女の身の為にも、自分の堪忍袋がこれ以上切れない為にも!!

ふふんと自慢げに笑って、素直に前へと向き直った彼に対して出来たことと言えば、授業終了を知らせるチャイムが鳴り響く間、彼の、そして彼女の椅子をひたすらガツガツと爪先で蹴ったくる事位だった。



近くて遠い好きな人
(先生、集中出来ません!)






パロディでのジェムは頭悪そう
悪知恵が働くタイプ


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