鬼神(小王と狼)




ぶちぶち甲高く鳴くその自慢の鳶色を汗も涙も鼻水も唾液も体液も全部ぶち撒けた最悪の憎悪と軽蔑と痛惜をおくびにも出さないその小憎たらしくていっそのこと顔面ごとめぎりと嫌な音を立てて捻り絞り食い破ってしまいたい程の聖人もどきをした顔を同じ位苦痛と激痛と死痛にくしゃくしゃにした頬に張り付かせて僕を何とも言えない決定的な打撃を来る事を恐れ嫌い疎みけれどどうする事も出来ない運命に対しまるで抗議しようなどと思わない様な血を宿し全身を生かす赤く太くえげつない血管をさぁ仕上げだとでも言う様にゆっくりと手にかけて。

「殺してあげましょう」
「やってみなよ」

(どうしたって何も殺せないのだ彼は。
だって臆病者の癖にそれを寧ろ胸を張って誇示して、そんな人間がリーマスは自分でも吃驚する程嫌いである。
事実、彼がその言葉通り命の駆逐を軽々しく行う非人道なら、彼の兄であり自分の友であるあの高潔な灰塵は、最早凶刃とも呼べない鋭さを失った歯痒い彼の愛情により、この世を去っているだろうと容易に想像出来たからである。)

「いつでもかかって来なよ、
僕の可愛い、永遠の出来損ない」



鬼神=人間のできない様なことをし遂げる力の持ち主。
(酷く、錆びついた手のひら)



ヤンデレギュの波が来た。





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