鬼火(小王)




パチリとはぜた火の粉の音で目が覚めた。
未だに赤々と燃えている火は、段々と赤黒く変色し始めた木箱を更に追い立て、全てを無に孵そうとしている様だった。
どうやら知らぬ間に寝ていた、らしい。
仮にも死喰い人であるというのにと自分を軽く叱ったが、なかなかどうして人を焼く火というものはこんなにも温かい。
恨むならそちらを恨んで欲しいものだ、レギュラスは眠気の覚めやらぬ灰眼で橙色のそれを見つめて欠伸を一つ零した。

見知らぬ少女だった。少し癖のある赤毛で、肌が白い所為で余計に目立つ鼻頭の面皰が無ければそこそこに美人だったように思われる。あくまで推論だが。
血が滴る程ついたローブに、運んでいた死体に、寒気がする程匂い立つ鉄臭い赤に憎悪を見せた瞳は此方が吃驚する程掻き開かれて、悲鳴を上げずには居られなかった唇からは、恐ろしい程の金切り声が夜闇を引き裂いたのだった。

手を組ませ祈らせてやった。
せめてもの償いとばかりに、同じく血に濡れた顔を夜露で拭いてやった。
いつもならこんな事はしない筈だった。
何処かで何かが違えた様な気もする。

「ねぇ、そこは温かいですか?」

聞いてみたかったのだとぼんやり気付く。最早声を上げる事さえ叶わない彼女が答えてくれる様な気がして、レギュラスは炎の中へと手を伸ばした。



鬼火=出棺の時に門前で焚く火。
(夜空は悲しい色をしていた)



小王と死体。
ヤンデレギュ万歳\(^O^)/



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