穿漏(鼠と龍)




歯を食いしばるその姿さえ気に障る。
嗚咽を最小限に圧死させる音が不快で、けれど溜め息をつけば幸せが漏れてしまうと思い敢えて其れを飲み込んだ。
目前の縮小された欲望の権化は自分のそれに混じる僅かな幸福さえも糧として、己の生命を繋げてしまいそうだからだ。

「(嗚呼、何と醜い)」

底知らずの貪食は機能停止の為の非常階段すらも無く、花蜜を貪る蜜蜂、箱舟を飲み込む津波、二つの退廃を焼き尽くした神炎と姿を同じくして、この世界を食らいつくそうとすらしているのだろう。
滑稽?醜悪?下劣?視線からだだ漏れの侮蔑の言葉に、けれど果たして自分を責める権利などない事を知っていた。



「君とは到底、志を同じくする事は無いようだね、ピーター君」
「嗚呼、それでも考える事は一緒なんですね、ルシウス先輩」



この白くか細い喉を、
何時掻き切ることが出来るだろうか。
そう考えれば、良心の呵責やらこれからこの身に受けるであろう死痛も、鼻を鳴らして乗り切れそうだ。



穿漏=先端の穴から漏れ出ること。
(似て非なれと願おうか)



親世代の中で一番仲が悪そうなのは、ジェとセブとかシリとレギュとかよりも何よりも、ピタとルシだと信じてる。同じ位貪欲な癖に同族嫌悪する二人。
ジェとかシリには嘲笑くらいはするけどピタには容赦ない位の仕打ち。
…ルシ大人気ねー…



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