The brute*

ホグワーツを卒業した。
と同時に、リドルと同棲することになった。

仕事が落ち着くまでは実家でのんびりしようと思っていたら、何故かリドルが両親に挨拶に来ることになって、リドルとすっかり彼を気に入った両親の話がとんとん拍子に進み、あれよあれよという間に2年早く卒業し一人暮らししていた彼の家に住ませてもらうことが決まっていた。あれれ。

……というわけで同棲を始めて1か月が経ったが、意外にも2人でゆっくりと過ごす時間はとれずにいる。
彼は多忙だった。まだ3年目だというのに魔法省の所属部署の部長を任されたという大躍進ぶりは流石としか言いようがない。特に最近は忙しくなってしまったらしく、帰りもうんと遅いしときどき週の休みを返上して出勤しているくらいだ。
わたしはわたしで3週間前に個人経営の魔法薬のお店で働き始め、新人は覚えることが多くてそれなりに忙しくしている。薬の注文は曜日に関係なくくるのでお休みはシフト制だ。そのせいでリドルと休みが合わない。

今日は初めて2人の休みが合ったのでデートに行こうと話していたのだが、朝になって速達のフクロウが黒い封筒を咥えて飛んできた。リドルはそれを無表情で受け取り中身を確認すると、大きな溜め息を吐いてスーツを纏い始めた。どうやらトラブルが起きてリドルの手が必要になったらしい。

眉を寄せて謝る彼を気にしないでと笑顔で見送るも、内心はとても落ち込んでいた。この日の為にと背伸びして買った大人っぽい紺のワンピースをクローゼットの奥に仕舞う。部屋着のまま暫くうだうだと過ごして、いつの間にか正午を回っていたことに気づき慌ててお昼を作った。本当は人気のレストランに行く予定だったのに……とめそめそしながら食べていると、段々と辛いのはリドルの方だと気付いて気持ちを立て直す。遅くなると言い残した彼に気合を入れた夕食を作っておこうと意気込んだところで、窓からコツコツと音がした。

「あれっ」

窓を見ると、見覚えのあるフクロウが包みを咥えて窓際にとまっている。羽の一部を緑に染められたお洒落なフクロウ。確かスリザリンの美女と名高かったヴァルブルガ先輩の子だ。雲の上の存在過ぎてわたしは接点など何もないが、同じ寮だったリドルはそれなりに親しいらしい。きっと彼宛だろうと包みを受け取って、挟まれたカードの宛名に目が丸くなった。

”Dear ナナシ・ノーネーム”

なななななんで???

恐る恐る緑色のカードを開くと、これまたお洒落な金のインクで、女性らしい細い字が綴られていた。

”突然こんなことをして驚いたわよね? ごめんなさい。リドルが貴女の話ばかりするから、勝手に親近感を持っているのよ。卒業おめでとう。更にリドルと同棲を始めたと聞いて、何か贈りたくなったの。素敵な日に使ってね――ヴァルブルガ・ブラック”

読み終わって、ひゃあぁぁと情けない声でカードを抱き締めた。贅沢すぎるほど素敵な内容。あの美女がわたしなんかをこんな風に思ってくれていたなんて! それに、リドルくんがお友達にわたしの話をしているなんて…!!!

先程の落ち込み様はどこへやら、浮かれたわたしはソファにダイブしクッションに顔を突っ伏してこの嬉しさを噛み締めた。再度読み直してニヨニヨする。そして最後の一文にハッとして体を起こした。

「なんだろ……」

ヴァルブルガ先輩からの贈り物。恐る恐る高級そうな黒の包み紙を開く。すると中から現れたのは――臙脂色の、布?
両手で持ち上げるとその全体が露わになる。

「っ、」

――それは、セクシーすぎるランジェリーだった。

お尻を隠しきれない程度の丈のキャミソール。肩紐は頼りないほど細く、背中なんてほとんど丸出しだ。胸の部分は大きな花をあしらったレースでV字に切り込みが入っており、谷間が強調されるだろう。セットのパンティなんて殆どが紐のTバックだ。

絶っっっ対似合わない。

素敵な日ってそういうことかと遅れて理解し、赤面する。しかしヴァルブルガ先輩には悪いがリドルにお披露目する気には一切なれない。わたしの平凡な体型には似合わないし背伸び感が半端ないだろう。

……でも、少し……着てみたい気も……。

時計をチラリと見る。14時。まだまだリドルは帰ってこないだろう。
カーテンを締め、部屋着を脱いでソファに置く。今着てる下着とそれを見比べ、その雲泥の差にやはり実用的ではないと再認識した。

Tバックのサイドは頼りない華奢なリボンで締めるデザインだ。ひいひい言いながらリボンを結ぶ。次にキャミソール。つるりとした裏地が肌を撫でて身震いした。お尻はやはり半分ほど出てしまう。

「わぁ……」

ドレッサーの鏡に映った自分はとても厭らしい格好だった。ついでにランジェリーの色に合う口紅をひと塗りしてみると、ぐっと夜の雰囲気が増す。

しかしドレッサーの鏡では些か視野が狭い。全身鏡は実家に置いたまま。もっと細部まで確認したくなったわたしは、大きな姿見が付いた洗面台のあるバスルームまで足を運んだ。

「ひえぇ……」

全身は更にインパクト大だ。

よく見ると横腹も殆ど隠されず、やっと布があるかと思えば上品に布を重ねながらもスリットが入っている。背中を見ると、腰あたりから肌を隠してくれていた。リボンがだらんと垂れているのを見つけて、ここも結ぶのかと気付く。鏡を頼りに後ろ手で結んでいると。

リビングから暖炉が燃え出す音がした。

「え」

待って。

突然暖炉が燃えるなんて、理由は1つしかない。

「ナナシ。帰ったよ」

…………リドルくんだ。

なんで?! 今日は遅くなるって言ってたのに!! と浮気真っ最中の人妻ばりに焦っているが別にやましいことはしていない。

しかし、この姿を見られるのはなんだか不味いような気がするのだ。

元々着ていた部屋着や下着はソファに投げ出されたまま。いつもはこんな風に広げたりしない。脱ぎ捨てられた服を見つけたのか彼がバスルームに近付いてくる気配がする。

「ナナシ?」

シャワーの音がしないことを不審に思ったのか、低い声でわたしの名前を呼ぶ。緩むことのない足取りに心臓はばくばくだ。

どうしよう。何か、隠すもの……!!

ドアノブがガチャリと音を立てたそのとき、わたしは反射的に傍で丸まっていたバスタオルを引っ掴んだ。

「……何してるの?」

リドルの目にはマジシャンの様に体を隠すわたしが映っていることだろう。

「や、あの、シャワー浴びようかなーって」
「……あそこで服を脱いだの?」
「えっと、突然、すごく浴びたくなっちゃって」

訝るような視線がバスタオルを貫通して突き刺さる。あっさりここから出て行ってくれそうにない。

「お仕事、早く終わったんだね」

内心冷や汗たらたらで誤魔化すように声を掛けると、リドルはネクタイを緩めながら訳を教えてくれた。

「せっかくのナナシとの休日だからね。終わらせてきた」

どう”終わらせてきた”のか気になるところだが、素直に嬉しくてきゅんとしていると、それを読んだリドルが微笑むものだから、きゅんどころかぎゅんぎゅんとときめいてしまう。

「シャワーを終えたら出掛けようか」

と言いながら、外したネクタイを洗面台の脇に置こうとした彼の手が、止まった。

何やら洗面台の方を見て目を見開いている。どうしたんだろうとそちらを見て、わたしは息を止めてしまった。

頭隠して尻隠さずならぬ、正面隠して横隠さず。

……洗面台の鏡にはわたしの全身が映っていた。

慌ててバスタオルを纏うが、もう遅い。

彼には見えたことだろう。

……いつもは身に付けることのない、セクシーなランジェリーが。

「それ、下ろして」
「……や、……」
「ナナシ」

距離を詰められ、タオルに縋る手を両方ともリドルの手に包まれる。ひやりとした指先に撫でられて肌が粟立った。恐る恐る見上げた先には、赤く染まった瞳がわたしを真っ直ぐに見つめていた。

「お願い」

甘ったるい声が耳を撫でる。

……ずるい。
あなたのお願いには、その瞳にはわたしは逆らえないって、あなたは知っているのに。

力の抜けたわたしの手からタオルが外されていく。ぱさりと、床にタオルが落とされた虚しい音と共に、わたしのランジェリー姿が彼の目に晒された。

じっくり、いや、じっとりと上から下まで、隅から隅まで、眺め回される。

目で犯されているような気分だった。

彼は無言で、この空間にはお互いの息遣いしか聞こえなくて、それがまた羞恥を煽って、わたしの顔は耳まで真っ赤だろう。

「きゃっ」

突然腕を掴まれ引き寄せられて、彼の胸板に顔を埋めるような体勢になる。そのまま彼に身を任せるかたちになって。柔らかでつるりと滑りの良い裏地に胸の突起が擦れて、感じてしまう。更にもう片方の手で剥き出しのお尻を掴まれて、びくんと体が跳ねた。

「……悪いけど、夜まで待てそうにない」

耳元で熱い息と共に囁かれ、もう脳が蕩けそうになっている。

リドルの手が厭らしく動いて、尻の割れ目をなぞった。Tバックの紐と擦れ、だんだんと下降していく指に、甘い刺激がわたしを襲う。

「ごめんね……あまり相手できてなかったから、寂しかった? まさか君が……」
「ぁ、」
「欲情していたなんて」

その台詞に顔が火が吹き出そうなほど熱くなった。確かに、こんな格好をしていれば夜の準備をしていたと思われても仕方ないだろう。

「ち、違うの……着てみた、っ、だけで」
「誘うつもりは無かった?」

コクンと首を縦に振ると、なんとも言えない沈黙が訪れる。

「……じゃあ」
「!」

尻を撫でていた手が腰に回って、ぐっと前に引き寄せられた。

「この責任はどう取るつもり?」

回った手が力強く押さえてくる為、特に下半身はぴたりとくっついた。臍の下辺りの柔らかい肉に熱く硬くなった彼が沈んで、鮮明にその形を感じてしまい、わたしは身動きが取れなくなる。これにいつもあんなにも善くされていることが頭にも体にも染み付いていて、拒否なんてできない。それどころかわたしの中はきゅんきゅんと疼いて、じんわりと濡れ始めているから情け無い。

「そんなつもりは無かったから、収めろって、そう言うのか」

はあっと耳に息をかけられる。

「ナナシ」
「うぅ……」

もうだめだ。降参だ。

リドルの腕の中から彼の顔を見上げる。

「……本当に、君は……」

赤い瞳の奥で、欲が、炎の様に燃え上がっていた。

「そんな顔して、誘ってないだなんて……」

腕を掴んでいた手に横顔を掴まれ、顎の下に回った小指に顎をくいっと持ちあげられる。流れるように鮮やかに唇を奪われ、わたしはどんどんリドルのペースに呑まれていった。

舌で咥内を隅々まで愛撫されて砕けそうになる腰は彼に支え直され、より深く下腹部に彼のペニスが食い込んでくる。さっきよりも大きくなっているそれにもっと力なんて入らなくなる。時折わざと音を立てるように舌を吸うものだから、耳まで侵食されて皮膚がぞわぞわと粟立った。

ただ立っているだけではどうにも耐えられなくなってリドルの服の裾を掴むと、洗面台に座らせられる。脚をM字に開かれて中心を覗き込まれると、頼りない布は愛液ですっかり濡れてしまって、色が濃くなっていた。布の上から円を描くように撫でられると、そこからくちゅくちゅと音が立った。

「触ってもいなかったのに、もうこんなにしちゃったんだね」
「うぅ、ごめんなさ、ぃ」
「ああ謝らないで。僕も濡れたよ。ナナシが可愛いから」

そう言うと、リドルは着ていたジャケットを脱いで横に置き、ズボンのベルトを外す。ゆっくりと見せつけるようにファスナーを下ろすと、するりとズボンが落ちて黒のボクサーパンツが姿を現した。それは大きく膨らんでいて、先のところが先走りの液で濡れ、色が濃くなっている。思わず目を逸らすと、両手首を掴まれて彼の腰に誘導された。

「なっ」
「脱がせて」
「むり、は、はずかしいよ」
「一緒にやってあげるから……」

リドルの手に上から包まれて、親指が彼のウエストの太いゴムに差し込まれる。そのまま半ば強制的に手を下げさせられると、ゆっくりとパンツも下がっていく。下の毛が現れたので見ていられなくなって目を瞑ると、目敏い彼はすぐに気づいて動きを止めた。トントンと人差し指で催促するように小突かれる。目を開けるまで待つつもりの様だ。観念して目を開き見上げると、満足気に笑むリドルが居た。

……こういうときのリドルくん、ほんっと意地悪。

再び動き出した手により、少しずつ彼のペニスが曝け出される。もう苦しそうなほど腫れたそれは下へ移動するウエストのゴムに引っ掛かって頭を下げている。しかし遂に耐えられないところまで下がると、ぶるんと勢いよく上を向いて、飛び出してきた。

「……っ」

流石に無理だと思って横を向くと、くすくす笑いながらリドルはパンツを脱ぎ捨てた。わたしの手は掴んだままで、そのまま彼のペニスへ誘導する。わたしの手がそれに触れてしまうと、彼はぴくんと震えて熱い息を吐いた。それに驚いて離れようとしても、彼の手にぐっと上から押さえつけられる。柔らかくも硬い触感を手の平に感じ、指先が先走りの液で湿った。

「ほら、濡れてるだろ? ナナシのせいだよ」
「リドルくん……っ」
「……大丈夫。ナナシのも触ってあげる」
「あっ」

この恥ずかしすぎる行為に抗議の声を上げただけなのに、そんな心情を無視して彼はわたしのパンツに片手を伸ばす。片側のリボンを解けば、はらりと布が落ちて秘部の上半分が露わになった。

「ひゃうっ、待ってぇ」

すかさず手が滑り込んできて、指を2本入れられ、全ての面に触れようとするかのように大きく掻き回される。突然訪れた快感に高い声が出てしまった。声を抑えようと唇を紡いだのに、親指で肉芽を下から擦り上げられた刺激にあっけなくまた声が上がる。器用に親指だけで皮を押し上げて肉芽を直接押し潰しながら、中を人差し指と中指で擦ることも忘れない。リドルの手の激しい動きによりパンツのもう一方のリボンは自然と解けてしまって、わたしの秘部はすっかり剥き出しだ。中の良いところに触れられるのと、肉芽に鋭い快感が走るのとで、わたしはもう溺れてしまっていた。

「ぅあ、あぁんっ」
「いつにもまして敏感だね……蜜が溢れてる……」
「りど、っ、うぅ、う」

気持ちいいけれど、絶頂がちらつくと動きを和らげる意地悪な愛撫。片手の中では彼のものがどくどくと熱く脈打っている。

――わたしの理性は、もう限界だった。

それが欲しく、なって。
こんなこといつもなら絶対にできないのに、このランジェリーがわたしを狂わせたのかもしれない。きゅっと、彼を包む手に力を籠めてみてしまった。

「っ」

リドルがその刺激に眉を寄せる。その顔がなんだか可愛くて、調子に乗って指をふにふにと動かすと、彼の表情から余裕が消えた。聞こえなかったけど、プチンと何かが切れた音が聞こえた気がする。彼はわたしから指を引き抜き、わたしの両手首を掴んで後ろの鏡に押さえつけ、上に覆い被さってきた。

「ナナシ……!!」
「きゃっ、んぅ」

噛み付くようなキスを何度も繰り返されて、息を継ぐ暇なんてなく、口の端からだらしなく唾液が溢れる。ぢゅうぢゅうと咥内を犯される音と薄くなった酸素で脳がびりびりと震えた。やっと唇が離れたときにはお互い肩を大きく揺らしていた。

獣のような彼の勢いに圧倒されていると、秘部にぐっと熱いものを押し当てられ、体が固まる。

「そんなことして、分かってるな……?」
「ひゃああっ、あぁぁ」

一気に奥までペニスを挿入されて、そのぐりんと内部を滑り上げられる感覚に、わたしは嬌声を上げた。更に両膝の下に腕を差し込まれ、そのまま抱き上げられ、その衝撃に一際高い声で鳴いてしまう。
潰れた蛙のようにされた下半身、更に持ち上げられるこの体位により、重力によって普段よりも更に奥へと彼は入り込んでくるのだ。
気分が高揚し、焦らされた愛撫の後のわたしには、頭がおかしくなりそうなほどのものだった。

「……、……っ……!!」

瞬く間に絶頂が、波のように押し寄せてきて、わたしは彼の首に腕を回し、自分がアイロンをかけたパリパリのYシャツの背中を強く掴んで、その快楽に耐えた。

涙で滲んだ視界でリドルの顔を見れば、わたしの絶頂による締め付けに眉を寄せながらも、わたしの顔を愉しんでいて。その表情は先程の、何かが切れたような、理性がとんだ獣のようなもの。ゾクゾクと背筋が粟立っていく。

ああ、とんでもないことをしてしまったかもしれない……。

「嬉しそうに咥えて……そんなにこれが欲しかったのか?」
「っあ! おろ、おろしてぇっ」

腰を軽く揺らされて、その衝撃に涙がぽろりと垂れる。リドルはそれをベロリと舐め取って、わたしの背中を壁に押し付けた。

「駄目。もう優しくできない」
「っごめんな、さ、っ、ま、ってぇ……りど、ああぁっ」

……先程イってしまったわたしになんて御構い無しだ。
背中を壁に押し付けられればその体位は固定され、好き勝手に下から突き上げられる。子宮の入り口を雄々しいそれに何度もノックされ、声を抑えるなんてあまりにも無理なことで、悲鳴をあげるかのように喘いでしまう。

「ひ、ぃあ……っ! っあ、あ! っ……!」
「っ……、ナナシ……!!」

名前を呼ばれたことに応えようとリドルの顔を見ると、唇を塞がれる。それにより更に体がくっついて、繋がったところから胸までぴったりだ。彼は腰の動きを更に激しくして、胸の突起がキャミソール越しに彼の胸板で転がり、肉芽が彼の陰毛に擦り上げられる。

蕩けきったわたしの秘部を彼のペニスが侵すぐちゃぐちゃという音に、耳が。彼の熱い舌の動きに、咥内が。腰は勿論で、あらゆるところを侵略されて、脳みそはもうとろとろだ。

お互い、繋がることしか、快楽を追いかけることしか、頭に無い。

わたしたちは、本物の獣だった。

「〜〜も、ぅ……もうっ、だめ、」
「……、……っ」
「あぁぁっ」
「うっ……!」

目の前がちかちか白く光って、全身に快楽が駆け抜けて、わたしは再び絶頂を迎えた。その締め付けに耐え兼ね、リドルも自身を震わせてわたしの中に欲を吐き出し始める。リドルはわたしの肩に頭を任せて、射精に集中した。ペニスの先端を子宮口に押し付けて、余すことなく子宮へ届けようとしているかのようだ。彼の熱い精液でわたしはいっぱいになっていく。充たされていく。

リドルが射精を終えても、暫くわたしたちはその余韻に浸った。2人とも汗だくで、息が荒い。彼がちゅうっと鎖骨を吸ったことにわたしはとろんとした夢心地から醒めて、くすぐったさに身を捩る。その拍子に彼の頭が持ち上がって、ぱちんと目が合って。2人でくすくすと笑い合った。

「なんかリドルくん、すごかった……」
「……ナナシが煽るからだよ」

リドルがペニスを引き抜くと、精液と愛液が入り混じったものがぼたぼたと溢れ、バスルームの床を汚す。喪失感に身震いしていると、そのまま抱き直され、彼はわたしを抱えたまま歩き出してバスルームを後にした。このままシャワーを浴びるのかと思っていたのでポカンとしていると、ベッドルームに辿り着いて。わたしは素っ頓狂な声を上げてしまった。

「リドルくん?」
「なーに」
「あの、おでかけ、」
「ごめんね。まだ離してあげない」

ベッドに下ろされて、もう汗まみれになったキャミソールの上から胸を揉みしだかれる。頼りないレースなんかじゃ彼の指からは逃げられなくて、器用に突起を刺激され、わたしはまたも甘い世界に引き摺り込まれた。

「ああ、勿体ないな……脱がせるの。本当に可愛い」
「ヴァルブルガ先輩が、送ってくれて、っ」
「……へぇ。たっぷり感想を伝えてやらなきゃ」
「やだ……はずかしいよ」
「冗談に決まってるだろ。誰にも言わないよ、ナナシのこんな……やらしいとこ」
「リドルくん! きゃ、」
「僕だけの……可愛いナナシ」

……結局その日は陽が暮れるまでどろどろに愛されて、家から一歩も出ることはなかった。

後日。
家に遊びに来たヴァルブルガ先輩は、卒業時よりももっと綺麗になっていて。わたしは緊張してしまっていたのだが、リドルが席を外した隙に彼女に「素敵な夜は過ごせたかしら?」と耳打ちされ、顔が真っ赤になったのを楽しまれたのをきっかけに大分距離が縮まったと思う。

……そのおかげで、また小包が届いたのかもしれない。
案の定の中身だったそれを、クローゼットの奥に仕舞い込む。

しかし、リドルに見つけられるまであまり日はかからなかったのだった。

(The brute :獣欲)



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