Sweet BreakfastA*

「ここにあったんだ〜……」

ナナシは自分の身がある意味危険なこの状況を忘れてスリザリンの談話室を眺めまわしていた。
粗い石造りで緑のランプが下がっていて、髑髏や怪しげなものがたくさん並んでいる。

リドルと出会う前まではごくごく普通の学生生活を送っていたので、彼に連れられて向かう先々は彼女にとってちょっとした冒険だった。今回も、自分の寮以外の談話室に入ることは初めて。しかもちょっぴり怖いスリザリンだ。

「湖! すごい!」

なんと窓から湖の中が見える。初めて見る魚のような生物が過ぎたのをみつけて、ナナシはついにリドルから離れ窓に駆け寄ってはしゃいだ。魚は十数匹の群れをつくりグルグルと回っていた。

荘厳な暖炉に火がついてはいるが人のいない談話室の窓際は少し寒くて、両手を擦り合わせる。すると、それを気遣うようにそっと両肩にリドルの手が乗せられた。

「寒い?」
「ちょっとだけ」
「すぐ、暑くなるよ」
「え。あ、ちょ、」

窓からぐいっと離され、ナナシは男子寮の方へと肩を押される。

たくさんのドアの1つに入れば、深緑のビロードのカーテンに覆われた少し薄暗い部屋が目の前に広がった。ベッドは5つ。1番奥のベッドに誘導される。

いつもより濃くリドルの香りが鼻を掠めて、ナナシの心音が高鳴った。彼女が彼の部屋に訪れるのは初めてだった。せっかくならリドルの私物や目新しいスリザリンの部屋をゆっくりと見てみたい。

しかしリドルはそんな暇を与えなかった。
ベッドに近付くや否やナナシを押し倒し、上から覆いかぶさってキスの雨を降らせる。額、頬、鼻先、そして唇。押し付けられる熱。リドルの指がナナシの髪に差し込まれ頭を固定されれば、キスは深みを増していく。

流石のナナシも彼の熱いキスにそういう気分にならざるを得なかった。とろんととろけて、その心地良さに目を瞑る。
しかしリドルの低い温度の手が腹を滑り始まると、やはり余裕がなくなってしまった。

「はぁ……っ、んうぅ」

唇と唇が少し離れる合間に、せめてペースを落としてほしいと伝えようとするが、すぐに塞がれてしまう。
パチという音と共に胸を覆う圧力がなくなったのを感じてナナシは更に焦った。リドルの手が解放された乳房を覆い、円を描くように揉みしだく。掌が突起を潰すように触れて、彼の手が動くたびに刺激された。

息が荒くなっていくナナシの声を聞きたくなって、リドルはそっと彼女から唇を離した。

「ナナシ……」
「っあ!」

胸の突起をきゅっと摘まむと、リドルの期待通り小さく跳ねて声を漏らす。彼の口角が歪んだ。

もっともっと、その可愛い声を聞きたい。

リドルは力の抜けた彼女から下着ごと下の服を器用に剥がす。慌て始めたナナシの虚しい抵抗をあっさり収めて、彼はベッドの下に服を投げ捨てると、彼女の秘部に顔を寄せた。

しかしすぐには中に触れず、じっくりとその姿を堪能する。
脚を無理矢理広げさせられた厭らしい体勢。2本の脚の付け根の間に生える毛をリドルが優しく撫でると、ナナシはびくりと震えた。そのまま入り口を守るひだを指で広げれば、彼女の内部が見える。鮮やかなピンクに半透明の液が艶めくのが見えて、彼の欲望がむくむくと膨れ上がった。

「やだぁ!」
「ふ。すごく綺麗な色だよ、ナナシ」
「やだ、やだ、見ないで、」
「こら。暴れない」
「だってこんなの、恥ずかしすぎるよ!」

注意を無視して脚を閉じようとするナナシに、リドルの加虐心に火が着く。

「お仕置きだ」

リドルは彼女の肉芽を覆う皮膚をめくって剥き出しにすると、その小さな突起にしゃぶりついた。

「うあああっ、やあ、あっあ、」

唇で強く吸い、口内に収め舌先で潰すように刺激し、軽く歯を立て弾く。更に内部へ指を挿入し弱いところをぐりぐりと押してやれば、面白いほどにナナシは乱れた。

リドルは自分の興奮がこの上なく高まっているのを感じた。
元々休暇を彼女と過ごせるというだけで素晴らしいというのに、この人の少なさ、自分が占拠でき彼女を連れ込める部屋、これから控えるクリスマス……最高としか言いようがない。
誰にも邪魔されずにナナシを征服できる。

「〜〜ん、んぅ。も、あ、ぅあ……! ……あっ!」

仰け反り、脚を大きく痙攣させ、ナナシは絶頂を迎えた。リドルの指を肉壁がきゅうきゅうと締め付ける。その動きを楽しみながらゆっくりと指を引き抜き、体を起こして、リドルは彼女の顔を覗き込んだ。

頬から耳までを桃色に染め、大きな快楽に瞳をうるうると潤ませ、片方の目から涙がつうっと垂れている。唇はだらしなく半開きだ。

リドルの下腹部にぞくぞくと欲望が駆け抜ける。
もう抑えられない。

「そんな顔、僕以外に見せちゃ駄目だよ」

ペロリと涙を舐めとってやれば、ナナシはそれにさえも感じてしまうようで、身を強張らせた。
そのまま何度も顔にキスを落としながら、リドルはナナシの秘部に自身をあてがう。

今まではナナシが怖がるので必ずコンドームを着けていた。しかしそんな余裕は今の彼には無かった。

割れ目に先を挟み込み、狙いを定める。ぬるりとした感触にリドルは熱い溜め息を吐く。これから迎える快楽を想像するだけで先走ってしまいそうだ。
一呼吸置いてから、リドルはゆっくりと、しかし止まることなく、一気に深くまでナナシを貫いた。

「あ……! あ……! な、なに、これ」
「直接繋がってるんだ……」
「リドルくん、こんなの、あう、」
「っ、気持ちいいだろう?」

目を瞑って素直にコクコクと頷く彼女にリドルの征服欲は満たされていく。

いくら薄いものを使っていたとはいえ、やはり1枚ゴムを隔てたときと直接繋がったときの快楽は異なる。
ナナシはその熱く脈打つ肉棒を挿れられただけで昇り詰めそうになるのを必死に堪えていた。

「動かすよ」
「もうちょっとだけ、ま、」
「どれくらい?」
「え、えっと、1分くらい、っあ」
「そんなに待てない……」
「うう、動かないでぇ」

5秒も待たずにリドルは腰を揺らし始める。緩やかな出し入れで、ナナシの肉壁とリドルの肉棒が擦れ合う。とても熱い。初めて直に触れ合うその感触に、ナナシは途端に溺れた。

「んぅう……あっあ、あ」
「ナナシ、可愛い。もっと鳴いて……」
「ひゃっ! それ、だめぇ!」
「嘘。好きだろ?」

ナナシをもっと乱れさせる為に、リドルの腰は奥へ奥へと押し付けるような動きに変わる。子宮が圧迫される。ナナシにとって奥への刺激は肉芽への刺激よりも支配的で大きなものだった。
リドルは彼女がそこに敏感であることを知っていた。

「りどるくん、りど、っ」

あまりの快楽に怖くなったのか必死で自分の名前を呼び、しがみついてくる恋人。自身を包み込む彼女の感触、それに伴う快楽。
リドルのタガが外れる。
緩やかな動きは終わり、体全体を小刻みに揺するような力強さと速さで彼はナナシを追い詰め始めた。

「……っ! ……は……!」

もはやナナシは声さえ出なくなった。呼吸のような音と共に喉を震わせることしかできない。与えられる快楽を受け止めるだけで精一杯なのだ。

「――――!!」

律動的な刺激に限界を超え、ナナシは達した。
彼女の腰ががくがくと震える。その締め付けにリドルも耐えられなかった。急いで性器を引き抜き、その先をナナシの腹に向ける。

「……っ」

びゅる、と勢い良く飛び出た白濁の欲は腹に留まらずナナシの上の服を汚した。

自分の液にまみれ、快楽に肩を揺らすナナシはとても厭らしい。純真無垢な彼女の淫らな姿はいつ見ても、そそる。1度の絶頂で彼の欲が収まるわけがなかった。

「……し、死ぬかと思った……」
「それは困るな」
「えっ」

もう1度挿入し始めた彼にナナシは驚きの声を上げたが、その声はすぐに色を帯びたものに変わっていく。
絶頂したばかりで収縮も収まらず敏感になっているそこに、またも熱を孕んだ肉棒をねじ込まれ、ナナシは頭が白くチカチカするほどの快楽に襲われた。

「ほ、ほんとにしんじゃうぅっ」
「はぁ……っ、こんなに締め付けて……離さないくせに」
「そんなこと、う、う、」
「そうだろ……?」
「りどるくん、が、すごいからっ」
「僕のせい? こんなことに、っ、なったのは、君のせいだ」
「ち、ちが、ひゃああん」

容赦なくリドルはナナシを攻め立て続ける。
お互い、何度も達した。

体力が尽きてきたところでやっとリドルはナナシの横に倒れ込む。
しばらく2人は天井を見上げて息を整えた。2人共、汗だくだ。上に纏っていた服はしんなりと湿り体に張り付いていた。

「はぁ……ナナシって本当に感じやすいよね」
「……だから、リドルくんのせいだってば……」

このまま2人で横になっていたいが、せめて何かで体を拭かなければと起き上がろうとしたナナシの腰に鈍痛が走る。

「――いっ」

痛い。動けない。

あまりにも激しい行為に負けてしまったようだ。それも仕方ない。こんなに何度も達せられるのは久々だった。

ナナシは体を拭くのを諦め、浮かせていた頭を下ろす。その様子を見てもリドルは悪びれもせず、横に戻ってきた彼女の方に体を向け、腕を回した。

「初めてのときが懐かしいな」

必要の部屋で初めて体を重ねたとき。
リドルに何度も激しく攻められ、ナナシは生まれたての小鹿のようになってしまった。就寝時間ギリギリにやっと歩けるようになって、リドルに寮の前まで体を支えられながら送ってもらった思い出が蘇り、ナナシの顔が赤く染まる。

「ごめんね。ナナシが可愛いから、抑えられないんだ」
「! いじわる……」
「……。僕が意地の悪さを出したら、もっと大変なことになると思うけど?」
「あ! やっ」

リドルはナナシの上の服をめくり、胸を露わにする。
ぱたぱたと暴れる彼女を押さえつけ、彼は左胸の上の方をちゅうっと吸った。暫くしてから唇が離れると、そこはほんのり赤くなっていた。

「ごちそうさま」

なんと甘ったるい朝食だったことか。
朝から最上級のデザートを食べた気分だ。

リドルは満足気に笑んで、愛しいナナシを見下ろす。
ナナシはその笑みが意地悪に見えて仕方なかったが、どうしてもときめいてしまう自分に、いつまでもこの王子様には敵わないのだろうと悟った。



[目次]



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