黒死牟のセフレだと思ってる/鬼滅
※性描写注意
鬼となって以来、定期的に黒死牟さまの夜伽のお相手をしている。鬼にも性欲はあるのか、とか、どうして私なのか、とか、思うことは少なからずあるが、十二鬼月、それも上弦の壱に逆らうほど命が惜しくないわけがないので、大人しく抱かれている。減るものでもなし。
「なにを……考えている……」
「ん、あ……黒死牟さま、の、ことを、あっ……」
嘘は言ってない。すると激しさを増した抽挿に私は思考さえ塗り潰され、ただ喘ぐだけと成り果てたのであった。
胎へと直接注ぎ込まれる精液。最後の一滴まで注ぎ込まんとするかのようにぐっと押し込まれる。鬼が孕むなどとは聞いたことがないが、どうだろう、仮に身篭ったとしたら、私はどうなるのか。上弦の壱の子ならば確実に強いであろうから、あの方は歓迎なさるかもしれない。それとも危険因子であるとして潰そうとなさるか。両極端な気がする。この男はどうだろう、そういったことに頓着しそうもないので、他に夜伽の相手でも見つけて放られるのではなかろうか。孕ませておいて、とは思うが、それが男という生き物だとも思う。人であった頃に学んだ。ある種の諦めである。
鬼に睡眠は不要であった筈なのだが、彼と交合った後には決まって瞼が重くなる。目が覚めたらきっと彼は、いつものように消えているのだろう。それを寂しいと思う自分を自覚しながら、蓋をして、今宵も文句一つ言わぬ従順な女を演じきった。彼はそれこそをお望みなのであろうから。
意識がほとんど沈みかけていた私はだから、彼の呟きなど捉えられるはずもなかったのだった。
「早う孕め……私の、私だけの……」