Lなんて好きになりたくない/死帳


好きになったら辛いだけだと分かっていた。住む世界が違い過ぎる。彼の隣に立つには私はあまりにも平凡で、取り柄も才能もなさすぎる。
だから好きにならないように努力した。むしろあんな奴嫌いだと言い聞かせて、トゲトゲしい態度を取り続けた。さぞやかわいくない女だっただろう。このまま嫌われてしまえばいいと思った。元々好意はおろか関心もなかっただろうけれど、更にマイナスへ傾いてしまえばいいと思った。
そうすれば、私は、辛い思いをしなくて済むから。
だというのに、この男は。

「私は色恋に関して詳しくはありません。むしろ分からないことだらけです」

ですがこれだけは言えます。

「そんな風に思っている時点で、貴女は私のことが好きなのではないですか」

ああ、やめてよ。答えを突き付けないで。ずっと見ないふりをしていたのに。気付かないふりをしていたのに。

「希望もないのに期待させるようなことしないで」

涙も拭ってくれないくせに。

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