愛し合えなかった二人の話/死帳(L)


愛し方が分かりません。と彼は言った。くるくると紅茶を掻き回しながら、私はその横顔をただ見詰めていた。人に愛されたことがないのです。経験のないことはできません。そこに涙のひとつ、湿り気のひとつでもあれば私は……しかし現実には淡々と吐き出される言葉だけがあった。いつか受け入れてくれる人が現れるといいね。あまりにありきたりな科白だった。彼は何も言わなかった。一度として交わらない視線。それが、答えだった。

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