短編 | ナノ
思えば先生と出会ったのは、丁度今と同じように桜が舞っている晴天の入学式だった。それから早3年目に突入したのだけど早すぎて実感が湧かない。

「皆!今年もよろしくな。」

好きな人が担任のクラスだなんて私は幸せ者だと思う。運命なんて信じてはいないけどもしもハジメ先生との運命なんてものがあるならそれはとても嬉しい。

いくら歳が近くても学校の先生に恋だなんてしていいわけはないけど、それでも私は先生が好きだ。卒業したらきっとほとんど会えなくなるんだから、学生のうちに想うくらい、いいよね。

「ハジメちゃん。」
「おーみょうじ!今年もよろしくなー。」
「はーい。結局3年間ハジメちゃんだったね。」
「クラス替えないからな。…何だよ不満かー?」

昔はハジメちゃん、なんて呼んだら「ハジメ先生!」って訂正されてたけどあまりに皆がそう呼ぶものだから最終的にはハジメちゃん、で妥協したらしい。

学生のようなノリで小突かれて思わず笑ってしまう。くるくると変わる表情が眩しくて一年の頃からの恋心は褪せること無く寧ろ日に日に色濃くなっていく。

不満なんて。寧ろ嬉しすぎるくらい。なんて、本人相手にはとても言えないけれど。最近はこうして話したりふざけたり出来るだけで幸せだと思えるようになった。

「ハジメちゃん!」

ん?と首を傾げた彼に、ニッと笑って見せる。

「最高の一年にしようね!」

私が、後悔しないように。








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