それまでの私はずっと一人で、どんな場所でも何処にいてもうまく馴染めなくて置いてきぼりにされていた。

けれど次にたどり着いた場所はこんな私でも易々と受け入れてくれる人たちばかりで、ようやく自分の居場所を見つけられた気がした。

「ねぇ神様」
「どうした?」

この人は、この世界の創造主。そして私にとっては救世主みたいなものである。彼は最初に私をここに招き入れ、そしてもう何も怖がらなくて良いのだと背中を押してくれた人。だから感謝してもしきれない。

彼にはMZDという名前があるらしいのだけど私は崇敬の意を込めて神様、と呼んでいる。そんな神様に久しぶりに会ったのはお気に入りの原っぱでぼんやり空を眺めていた時だった。

「あのね、この世界はとても素敵ね」

柔らかく吹く風に頬を緩めたまま呟けば、神様はこてんと首を傾げる。

「…そう?」
「少なくとも私は大好き。あなたの世界だもん。この世界もそこに住む皆も、大好き。」

そう言って笑いかければ、きょとんとした表情が崩れて一転、嬉しげな笑顔に変わる。出来るならばずっと此処にいられたらいい。

「いればいい」
「…え?」
「気のすむまでいればいい。別に、世界はなまえを追い出したりしないんだから」

その言葉に納得し、同時に安心する。そうだ、もう私は拒絶されることはないのだ。確かすぎる確証に、胸がぽかぼかしていくのを感じる。

「神様は、不思議な人ね。口に出さなくても私のこと何でもわかってるみたい。」
「まあ俺様、神だし?……ただ、いまのは予想できなかったけどな」

私より幾分か座高の高い彼に少し背筋を伸ばし、その柔らかな頬に唇を押し当てる。一瞬驚いた顔をした神様は苦笑いのようなものを浮かべて頭をかいた。

こんな私に生きる世界をくれてありがとう



頬(親愛)




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