「燐ってヒーローみたい」

ちょっと前に自分がそんなことを言ったのを思い出した。突然言ったのを驚いたのか目をおっきく見開かせてぽかんとする。口まであける燐の八重歯まで見えて。ふふふ、と笑えば燐は顔を真っ赤にそっぽを向いた。でもすぐに真剣な目をしてこっちに向き直り、


「ヒーローじゃねえけど、しえみの為ならどこへだって駆けつけてやるッ」


そのとき、なぜだか胸にしみて涙が止まらなくなった
ぼろぼろ。大粒の涙が頬をつたう。燐はいつだって隣にいてくれて笑ってくれてたから。燐の笑顔を見るだけで安心できた。・・だからなのかな?来てくれる筈ないって、分かってるのに呼んでしまう。

ギシギシと机が軋む音が教室に響く。しえみの上にひとりの男子が馬乗りになり組み敷いている。抵抗するしえみの頬をたたき、言葉で脅す。それだけなのに、不安と恐怖心がしえみを襲った。

「・・ずっとふたりきりになりたかった」

「うあ・・っ
やだ、やだ・・!」

「抵抗しても無駄だよ
だってこの教室には僕たちだけなんだから」

スカートに手をいれてまさぐる。つー、と撫でげた。体はびくっと反応する。くすくす笑う嫌な笑い声が妙に脳に響く。もうどうしたらいいか分からなくて、ぎゅっと目を固く瞑った。


「燐、・・燐っ燐燐燐」

「その男の名は呼ぶなよ
君に相応しくない」

「燐・・!」


くるはずないのに。こんな期待したって。


「来てよォ・・っ燐」

「・・っの・・!」


手がふってくる。
叩かれるのかと、襲いくる痛みに耐えようと歯を食い縛った。だがいつまでたってもその痛みはこないからそっと目を開けた。
一瞬じゃ分からなかった。くるくるした毛先にへにゃっと笑う、頼りない笑顔。

「・・志摩、くん?」

「・・えと、奥村くんじゃなくてすんません。」

「・・ううん。」


助けてくれたのは志摩くんだった。あんなに燐の名前を呼んだのに。変なの。


「坊が忘れ物しはって・・代わりに取りにきたんですよ」

またあのへにゃってした頼りない志摩くんの笑顔。でも今は安心できた。ふるふると首を横にふる。屈めば、杜山さんは俺に抱きついて「わあああっ」と声を荒げて泣いた。


「私頭悪いから雪ちゃんにお願いして居残らせてもらったの」


俺が自販機で買ったホットコーヒーを手渡せば杜山さんは第一声、そう答えた。まだ震えがとれてなかったのか手からすりおち、アスファルトへ転がる。杜山さんは慌てて拾い、笑いながらありがとうとお礼を言う
自分があの時、通りかかってなかったら、と思うと正直ぞっとする。

「でも偶然でも志摩くんが通ってくれてよかった!」

「奥村くんは・・」

「燐はね、雪ちゃんと一緒に勉強だって」

「え?ならなんで一緒にやらなかったんです?」

「私もひとりでできるんだよ、ってとこ見せたかった」

でもその選択がいけなかった。一緒にまぜてもらえばよかったと。後々後悔が押し寄せる。またしえみに悲しみが襲い、涙が零れた。

「杜山さ、」

「・・っ
あのね志摩くん
このことは黙ってて?
みんなに心配かけたくない」

「それはあかん!」

「お願い」

そう、普段とは違う瞳で言われればなにも言えなくなった。どうして。彼女ばかりがこんな目に。胸が痛い。

(奥村くんがしっかりしてくれれば・・って完璧言いがかりやな)


未来を見れる力があればと、ぽそりと呟けば杜山さんに笑われた。いつもの杜山さんらしい笑顔にほっとする。この笑顔が好きなんだ
愛しい彼女が誰の隣で笑ってようとこの笑顔が消えなければそれで。


「・・遅くなっちゃったね
志摩くん本当にありがとう」

いこっか。と手を引っ張る
立ちすくんだままの自分を不思議に思い、首を傾げて近づいてくる。


「志摩くん?」

肩に触れる小さな手を掴んだ。目と目が合う。

「・・志摩、くん?」


顔をまっかかの志摩につられ、しえみも赤くなる。
ゆっくり志摩の唇が動いた


「俺は杜山さんが好きです」



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無名様宅から5万打記念期間限定フリー小説を頂いて参りました。厚かましくもすみませんm(__)m

しえみちゃん受け小説たまらんんんです(*´∇`*)

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水月きな様へ

畏れ多くも相互させていただいております、ケルベロスの終焉の潮と申しますm(__)m
初めましてのご挨拶がこのような場所からで本当に申し訳ありません;

そして遅くなりましたが、5万hitおめでとうございますm(*´∇`*)m5万…5万すご、5万すごあばば
凄い数です。
いつも貴サイトの素晴らしい作品にはお世話になっておりまして、今回のフリー小説にも激しく萌えさせて頂きました。本当にありがとうございます!燐しえも志摩しえも片想いも美味しすぎて悶えます!!続きをにやにやしながら期待していますにやにや←やめてあげて〜!
これからも応援しています!相変わらずこっそりとですが通いつめさせていただきます^^*
チキン申し訳ありませんm(´Д`)mへこへこ
素敵な作品をありがとうございました!ヽ(*´∇`*)ノラブ!




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