「どこかにいい男いないかな」

また始まった。あたしは心の中でこっそりと溜め息を吐いた。元の世界でもこっちの世界でも甲斐姫は男探しに大忙しでまるでお腹のすかせた肉食獣のようだ。でも残念ながら収穫はゼロ。

「いい加減諦めたら〜?」
「いーや、諦めたらそこで終わり!きっとあたしの腕力が報われる日がいつか必ず…!」
「来ないと思うけどなあ。熊姫にはむりだって」
「うっさいわね!…あんたはいいわよね、すでに二人もいるんだから」

恨めしげな瞳で睨まれて思わず苦笑いを返す。うらやましいなら両方ともあげるよ、むしろもらってくださいお願いします。だって正直迷惑なんだもん。甲斐姫に言ったら「贅沢な悩みね」なんて言われてそのあといじけだすだろうから言わないでおく。そりゃああたしも甲斐姫みたいに男を求めてたら万々歳だったかもしれないけどさ、あたしは別にそんなのいらないし幸村様のそばで幸村様の役に立てるならそれでいいのだ。

「あ、ほら。うわさをすれば来たわよ」
「…うげ」

後ろを振り向くと確かに例の二人がこっちに向かって歩いてきてる。しかも二人とも手に団子やら桃やらを持ってる、もしかしてそれはあたしにあげるためとか言わないよね。めんどくさいから逃げよっかなと思った矢先にうれしそうな声で名前を呼ばれた。それにうっかり動きを止めてしまって逃亡失敗。しかも甲斐姫はいつのまにかいなくなってるし、あたしも連れてって!

「くのいちお腹すいてない?おいしそうな桃あったから持ってきたんだけど」
「桃より団子の方が腹も膨れるだろう。どうだ、作り立てだぞ」

やっぱりあたしへの貢ぎ物だったようだ。貢ぎ物なんて言い方は悪いけど間違ってないのだから仕方ない。この二人−−半兵衛さんと三成さんはどういうわけかあたしを気にいったらしくて事あるごとに絡んできてその度に小さな争いを勃発させる。なんであたしなんだか。理由を聞きたい気もするけど下手に行動したらめんどうな事になりそうだ。

「三成さん分かってないなあ。見てよ、このみずみずしい桃!どう考えてもこっちでしょ」
「貴様こそおかしいのではないか。団子の方が腹持ちもいいし食べやすい。くのいちが選ぶのはこっちだ」
「いや、俺だよ」
「違うな、俺だ」
「…どっちもいらないです」

桃も団子も半兵衛さんも三成さんもいらないから。あたしの答えに二人は同時にえっという表情をするとお互いを睨みつけた。

「あーあ、三成さんがしつこいせいで俺までとばっちりだよ」
「それは俺のセリフだ。くのいちが嫌がってるのも分からないとは…呆れた奴だな」
「は?何言ってんの?」

まさに一触即発の状態。どっちもしつこいしどっちも呆れた奴なんですけど。無意識に溜め息をつくと「疲れた?じゃあ三成さんはほっといてあっちで俺と昼寝しようよ」「ふざけるな。どうせ邪な考えでもあるのだろ、くのいちに近寄るな」「失礼だなあ。あなたと一緒にしないでくれる?」とまたもや言い争いを始めたからあたしはとうとう忍法を使って逃亡した。今度こそ成功。さあて、幸村様に会いに行こうかな。



カラスが鳴くので帰らせて
20120312



ひなたさんへ

素敵過ぎる作品を頂きありがとうございます!!そしてフリリク企画お疲れ様でした!参加させていただけて光栄です。
大好きな半兵衛と三成のくのいちサンド!!!始終にやにやが止まりませんでした!禿げ散らかしちゃって髪の毛残ってないわよ〜ってくらいに萌えました!!
更にこの3人が好きになりましたよ〜^^*やはりひなたさんは偉大です!リクエストできて幸せでした!(*´∇`*)
しょんぼりな拙宅ですが宝物ページだけはキラキラと輝いていて眩しいです!ありがとうございます!!
改めてまして、これからもどうぞ宜しくお願い致しますm(__)m
素敵な作品を本当にありがとうございました!
ひなたさんラブ!ヽ(*´∇`*)ノ
2012.3.24 潮



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