(廉朴)
夫婦
※幼い子供がいます。


廉朴/1万打フリリク



太陽が 一日の お仕事を 終えて 眠ります

海は 太陽の お布団です

太陽さん おやすみなさい

カラスの 鳴き声は 月の 目覚ましです

夜に なりました

こんばんは お月さま

月が 闇を 食べ始めました

闇は 月の ご飯です

やがて 月の お腹が 満たされた頃 ニワトリの 目覚ましで 太陽が 起き出しました

今度は 月が 眠りに 就く番です

おやすみなさい お月さま

何かの後ろに 隠れている 影は 月の 食べ残しです

再び 夜に なる頃には
大きく 成長していることでしょう

おはよう 太陽さん

さぁ 今日は 雲と かくれんぼをして 遊びましょうか

それとも 地球とにらめっこをして 遊びましょうか



「わぁ、いい匂い」

寝室から静かに出てきた朔子は、香ばしい匂いを胸いっぱいに吸い込んでから嬉しそうに呟いた。
ソファーに腰掛けてコーヒーを飲んでいた廉造が朔子に気付き、マグカップを机に置く。振り返った廉造と目が合うと、朔子はふわりと微笑んだ。

「寝はった?」

微笑み返した廉造に、朔子はうん、と返事をしながらゆっくり頷いた。

「絵本2冊目でぐっすり」

「そぉか、ありがとぉな」

「ううん。やっぱり子供の寝顔って最高の癒しだよね。すっごくかわいいの」

「わかるわ〜。眺めてたらめっちゃ時間経ってることよくあるし。」

「ふふっ、知ってる。廉造くんよく鼻の下伸びてるもんね」

「えっホンマ!?」

「ほんまほんま」

朔子は廉造の口調を真似ながらクスクスと笑う。廉造は少し口を尖らせて『やって、かいらしぃねんもん…』と呟いた。

「あ、せや。コーヒー飲む?」

「そうだねぇ、いただこうかな」

「ほな座っといて。いま淹れるから」

「うん。ありがと」

廉造がキッチンに向かうのを横目に見ながら朔子はソファーに腰掛けた。ふと、卓上に見慣れない絵本を見つけて手に取る。
それはいかにも手作りの絵本で、プレゼント用なのか、黄色のリボンで包装されていた。

「廉造くん」

「ん〜?何か言うた?」

「あ。ゴメン、何でもないよ」

キッチンにいる廉造は、コーヒーカップを出そうとしている最中だった。ドリップ中なのか、良い香りが漂ってくる。朔子は『後で後で‥』と呟くと、再び絵本へと視線を落とした。
表紙には太陽の絵が書いてあり、裏表紙には、月と星の絵が書いてある。線はカクカクとしてぎこちなくお世辞にも上手い絵だとは言い難いが、鮮やかな色使いや丁寧な作り込みを見ていると、何だかとてもあたたかい気持ちになった。

黄色いリボンの隙間から文字がちょこっと覗いている。
解けてしまわないように注意しながらリボンをずらすと、そこには『さく・え れんぞうぱぱ』と書いてあった。

「ぷっ!」

それを見た瞬間、朔子は思わず吹き出した。
そこへ丁度、コーヒーをいれ終わった廉造がカップを片手に戻ってきた。

「朔子ちゃん?何わろてはんの?」

不思議そうに首を傾げている廉造からカップを受け取り、『ありがとう』とお礼を言った朔子はこれ、と手にしていた絵本を持ち上げて見せた。それを認めた瞬間、廉造は『げっ』と妙な声を出して恥ずかしそうに口を抑えた。

「すごいね、いつ作ったの?」

「け、結構前‥」

「そっか。いつプレゼントするの?」

困ったように顔を歪めて、廉造は小さな声で『いや、せぇへんと思う』と零した。

「どうして?せっかく作ったのに」

「やって僕の絵、下手くそ過ぎやん。さっき改めて見て自分でも驚いたわ‥」

『ピカソの絵、初めて見たとき並の衝撃やったわ〜』と笑う廉造を見上げた朔子は、それから絵本へと視線を戻して『うーん‥確かに、上手とは言えないかもしれないけど‥』と唇をすぼめて呟いた。

「ははは、せやろ?」

「でも…私だったら欲しいなぁ」

「…、へ?」

「この絵本、欲しいよ」

絵本をそっと撫でる。その手を見つめ、『いやいや‥そんなん有り得へんやろ‥』と困惑している廉造に、朔子は『有り得なくないよ』と言って微笑んだ。

「だってね、上手な絵の本だったら本屋さんで買えるけど、この本は世界中どこを探しても手に入らないもの」

「た‥たとえ売りたかったとしても、そんな価値ないもんやから、やで?」

「ううん。パパが自分だけの為に描いてくれた絵本はお金なんかじゃ買えないし、買えなくていいの。その子にとったらお金なんかに変えられない価値があるんだから」

「‥そ…そぉやろか‥?」

「そうだよ。この絵本はとっても素敵なプレゼントだよ。明日から早速、あの子に読んであげるね」

「、おん」

「‥ふふっ。私も嬉しいなぁ。貰ってない人まで幸せにできるプレゼントってなかなかないよ?廉造くんは凄いね」

廉造はむず痒そうにはにかんで、朔子の隣へ腰を下ろした。

「…朔ちゃん‥、ありがとぉ‥」

「私もありがとう、素敵なパパさん」

幸せそうに笑う朔子の白く柔らかい手に自分の手を重ね、廉造はそっと、彼女の頬に口づけたのだった。


何度でも君を好きになる


(これからも素敵な絵本をたくさん作ってね)

(ん、頑張るわ‥)

(廉造画伯の作った絵本、私も欲しいなぁ‥よろしく、画伯)

(…あれ。朔ちゃんからかってない‥?)

(どうでしょう?…ふふっ)

(…適わんなァ‥)



fin..



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